Nightmare blue


episode 01 - サテライト










二人の関係はアレだ。
友達以上恋人未満と言うような微妙な関係。でも、どっちかって言うと、遊星の片思いっぽい。
鈍感な遥が奴の気持ちに気付くわけがない。寧ろ、自分にそんな感情を抱く訳が無いとすら、思ってるかもしれねぇ。
遊星もさっさと、気持ち伝えて、キスの一つや二つでしてくっつきゃいいのに。あぁ、見てるこっちがやきもきするな。


……まぁ、それだけ本気だから言えないって事だよな。遊星、遥に対してかなり奥手だし。
大泥棒のクロウ様は恋愛語る気はねぇけど、目の前でじれったい関係が延々と、継続されるっと、俺だって言いたくなるぜ?





遊びに来た遊星と遥を眺めながら、そんな事をぼおっと、考えていると、二人を眺めてる傍から、遥が地団駄を踏んで遊星に何か言っている。
遊星は無視を決め込んでいた。周りのチビ達がはらはらしながら、二人の顔を交互に見上げていた。
大体、一緒に暮らして、何にも無いってさ…なんかあれよって、何か起これよって突っ込みたい。










「ロウ……クロウってば!」


聞いてるの、ちょっと!
やや顰めっ面の遥がドアップに。


「っうお!?遥…っど、どうしたんだよ。急にさ」


やべ、声裏返ってら。
いつの間にか、その本人が目の前に。お前、遊星と喋ってたんじゃねぇのかよ。
危うく腰掛けていた椅子から、転げ落ちそうになった。遊星とこっちを見ていたチビ共がケラケラと笑っている。
危ねぇーっていつから、お前俺の目の前にいたんだよ。





「どうしたも何も……あんまり動かないから、目を開いたまま寝ちゃったのかと思ったのよ」


ぼぉーとこっち見て。
挙動が不審な俺の様子に首を傾げつつ遥はそう続けた。


「あ、あぁ!わり、寝ちまってたみたいだ!昨日あんまり寝てなかったからさ」


「じゃあ…ちゃんと、休める時に休んだ方がいいんじゃない?毎日セキュリティとかに追い掛け回されてるんでしょ」


「まぁ、な。俺って有名人だから」


追っかけが無い日なんて滅多にない。それだけの悪さをやらかしたって事。
誤魔化す様に笑って頭を掻くとジッと遥は俺の顔を見つめて言う。





「ちょっと、顔色悪いわよ」


何気なく遥は俺の頬に触れた。そしてやっぱり血の気がちょっとないわ、と呟いた。


「………そおか?」


貧血かも?
少し、間を置いて答えた。自分の浅黒い肌に真っ白な肌が重なる。
最初は何も感じてなかったのに後になってから、心臓が少し跳ねた様な気がする。それから動悸し始めた。






「睡眠不足で捕まらない様にね。大泥棒さん」


「――まぁ、これ以上マーカー付けるところなんてないしな」


冗談混じりで返すとじゃあねと笑って、遥はそのまま、遊星と去って行った。
後ろ姿を見つめていると、遊星が遥の額を思いっきり小突いていた。何やってんだよ。
「また遥姉ちゃんと遊星ケンカしてるね」完全に遥達の姿が見えなくなって、チビ共に囲まれながら小さく笑った。





「あぁーなんてこった」


遥が俺に触ったの見て遊星すっごい睨んでたな。でもさー隙があり過ぎるんだよなぁ…遥って。





上目遣いはヤバイッて。





誰にでもスキだらけ
(あんまり無防備過ぎると…俺だって本気になっちゃうぜ?)


title:確かに恋だった


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