※やや病んでるレッドさん
※初代組とNが出会う捏造話







それはある日、空から降ってきた。
真っ青な空に、透き通って消えてしまえそうな程のはかない緑色。
遠くから聞こえるのは、僕の身体を奮い立たせるポケモンの鳴き声。



コレは、人なのか?

頭に一瞬浮かんだ疑問も、手の中に入ってきた温もりによってすぐに解消された。

抱えた体温は、僕にだって覚えがあった。この温もりはまごうことなき人のものだ。
聞こえた鳴き声は、どうやらこの青年の相棒のポケモンのものだったらしい。見たことのないポケモンは、明らかに格上。僕がかつて出会ってきた、伝説と呼ばれるポケモンに違いはなかった。

「…君もこの人が心配なんだよね?」

言葉は通じなくとも、気持ちはきっと通じる。僕は真っ白なポケモンに向かって話し続けた。



「……大丈夫。僕に任せて。」



ポケモンは安心したようにひと鳴きすると、自らモンスターボールの中に戻っていった。

さて、ともう一度手の中の人をみる。死んでいるのではないかというくらい静かだが、しかし確かに鼓動は感じられる。
空から降ってきたと思ったが、正確には“落ちてきた”だったらしい。大方体力がつきて、先ほどのポケモンの背から滑り落ちたというところだろう。
原因はおそらく…。

(風邪………かな。)

温もりというには温かすぎる体温に違和感を覚え、僕はすかさずリザードンをボールから出した。
トレーニングかと張り切るリザードンの首を優しくなで、お願いをする。


「グリーンのところまで、飛んでくれるかい?」


是。というように、ブルリと震えて羽根を広げたリザードンの背にのり、彼のジムへと急いだ。






(なんで、あのタイミングで落ちてくるかなあ…。)


僕はつい数分前まで、嫌になるくらい綺麗な空を見上げ、背筋がぞくりとするほどの崖を見下ろしていた。
あのときの僕は、多分最高に投げやりだったのだとは思うけれど、それにしては覚悟が強すぎたように思える。

大きく深呼吸をした後で、この空を見るのもきっと最後だろうと、もう一度青空を見上げたときに、彼が降ってきたのだった。




それは偶然に





腕の中に抱えた体温と、頬に当たる雪の冷たさで現実に引き戻された僕に、どうやら涙を流す権利もまだあったようだ。





(てっきり天使が迎えに来たのかと思ったんだけど。)


苦笑を漏らしながら、僕はトキワシティへと向かっていった。




(ただいま、僕の世界。)



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それは突然で
に続きます。

投げやりなレッドさん





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