「……毎回思うんだけどさ、何で私ん家に集まるの?」

「だってあたしん家はお母さんが怖いしパソコン使えないし」

「ウチん家は汚いし親がいるから迂闊に人呼べないし」

「祐香ん家はお母さん怖くないしパソコン使いたい放題だし家は程よく綺麗だし人を簡単に呼べるけど、芹都ちゃん家行きたい」

「なら奥ちゃん家に集まろうぜ…」

「唯一の弱点は、祐香ん家が他の3人から見てかなり遠いことかな」



にこり。無駄にいい笑顔を浮かべる3人の頭を速攻叩いた私は悪くないと思う。





【興味と恐怖は8:2】





夏休みの前半が終わりかけている今日この頃。つまり、7月もあと数日で終了ということだ。

私はとっくのとうに宿題を終わらせて(皆に言ったら「おかしい!!」とハモられた)、残りの夏休みを満喫していた…んだけど。

この3人、私にノーアポで突撃して来やがった。



「いなかったらどうしようかと思ったけど、芹都ちゃんのことだから家から出ないだろうと思って」

「アポ取れよお前等…」

「そしたら驚かせられないでしょ?」



驚かせないでほしい。心臓に悪いから。

しかも丁度心臓に悪いことしてたから尚更。



「心臓に悪いこと?」

「これだよ」

「…………げ、」



慣れた様に私の部屋に上がり、我が物顔で漫画を読み漁る奴等に麦茶を出す。そんで、今まで弄っていた物を指差した。

苦い顔をしたのはいっちゃんだ。

差した先にあるのは私の部屋に設置されたパソコン。重要なのは映し出されている画面の内容だ。



「これ、ホラゲー?」

「ピンポーン。大正解」

「成程。そりゃ心臓に悪いわ」



そう、ホラゲー。ホラーゲームをダウンロードして、パソコンでやっていた。

元からホラゲーの実況動画をサイトで見るのは好きだった。折角夏休みだし時間あるし、やってみようかと思ったのがキッカケ。

外に行かなくても夏気分が味わえる……素晴らしいね!



「はいヒッキー発言来た〜」

「ヒッキー言うな。否定はしないが」

「自覚ありとかww
このホラゲー、なんてゲーム?」

「ibだよ」

「あ、知ってる」

「マジ?これ比較的簡単だし戦闘とかも無いから楽しいよ」

「………………………」

「いっちゃん?」



パソコンの画面を見ないように顔を逸らし、端っこで丸くなってるいっちゃん。

何でだろうと数秒考え……すぐにその答えは浮かんだ。

なっちゃんと奥ちゃんも思い当たることがあったみたい。すぐにニヤニヤと笑い出す。



「おーだーちゃん♪」

「な、何かな奥ちゃん」

「おだちゃんって…ホラゲー苦手だったよねぇ?」

「っ!!」



ビクリといっちゃんが肩を揺らした。

その顔は真っ青だ。

対する奥ちゃんは新しいオモチャを貰った子供の様に笑っている。



「芹都ちゃん、ホラーって平気だよね?」

「おう」

「なっちゃんは?」

「あたしも普通に見れるよ。ホラゲーなら」

「ならいいよね」

「奥ちゃん、何する気?」



さっきから顔面蒼白ないっちゃんがガタガタ震えてるんだけど。

顔文字で表すならこんな感じ→ブルブル((;゚ェ゚;))ブルブル



「えへへ〜(*´∀`)♪
祐香、いいこと思い付いちゃった☆」



その時の奥ちゃんの顔は素晴らしく楽しそうでした。



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