3
数日後。今日は再テストの日だ。
一応勉強はしてきたけど…正直、自信が無い。
奥ちゃんを見ると普通の顔をしていた。
「余裕そうだね奥ちゃん。勉強は…」
「すると思う?(ニコッ)」
「……してないんだね」
妙に余裕があるのはどっちにしても落ちると確信しているからか!
そんな良い笑顔で言っても駄目だから!!
「それじゃあ、社会の再テストを始めます。紙が配られたらすぐに始めて下さい」
時間は15分。
問題は変わらないので、今度こそ合格してみせる…!
「……ねぇ」私はどんどんシャーペンを走らせる。
青森…岩手…山形…。
「……ねぇ…聞いてる……?」茨城…新潟…京都…香川…沖縄……よし。
都道府県名は分かったから、次は県庁所在地を……。
「ねぇねぇ……」盛岡…水戸…金沢……。
「ねぇってば!聞こえてんでしょ!?(小声)」「何!?さっきから五月蝿いよ!(小声)」
今はテスト中なのでカンニング及びそう思われる行為は禁止になっている。
怒られるのは嫌だから一応小声だ。これでも。
話し掛けて来たのは、私の後ろに座っていたクラスメイトのいっちー(本名:
市沢悠也)だった。
因みに生徒会役員で副会長。
「なぁ、6番の都道府県名って何?」
「おいお前、それでも生徒会役員か…」
「しょうがないじゃん。落ちちゃったんだもん」
「男で身長が170ぐらいのヤツが“だもん”とか言うな」
ハッキリ言ってキモイだけだぞ。
「いっちー、芹都ちゃん。先生来るよ」
「うぇ。しゃーない。ほら」
奥ちゃんに言われて、私は解答用紙を机のギリギリ端っこに寄せる。
私達が座ってるのは一番廊下側で、先生はこっちに来づらい。
だから私の全部答えが埋められた解答用紙を机の廊下側に置けば、バレずに済む筈。
「これで何とかしろ。ついでにさっきの答えは栃木だ」
「サンキュ。今度アイス奢る」
「別にいいよ。けど楽しみにしとく」
それでいいのかは分かんないけど、後ろからガリガリ書く音がしてきたから写してるんだろう。
カンニングは駄目だと分かってる。けどこういう助け合いは結構好きだ。
結果。
私は100点、奥ちゃんは75点、いっちーは80点。
全員合格できた。
……てか奥ちゃん、ギリギリだな。
[*prev] [next#]
[ 3/3 ]
[mokuji]