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「おはよー」
「あ、奥ちゃん」
「おっはー」
「何書いてるの?」
【小テスト】
朝。私となっちゃんは奥ちゃんに普通に挨拶を交わす。
聞かれたのは、今ノートに書いている社会の問題だ。
「知らないの?今日、月一テストだよ?」
「……あ、」
「忘れてたんだ…」
私達が通う学校では月に一度、20問程度の小テストをやっている。
75点以上で合格。不合格者は再テスト。
毎月教科も変わるからこっちとしても一苦労。
範囲表を渡されるの5日前ぐらいだし。
「うっそ、今日だったの?うーわー」
「今回は日本地理。私苦手なんだよねー」
「芹嬢にも苦手ってあるんだ」
「私を何だと思っているのなっちゃん」
「可愛いツンデレ!!」
「
うお!?どこから出てきた変態!?」
「決まってんじゃ〜ん。芹嬢のと・な・り・か・ら(はーと)」
「(ゾワゾワッ)寄るなバカ!!それ以上くっつくな!!」
「わ〜照れちゃって。か〜わ〜い〜!」
「〜〜〜〜ッ!!」
こ、この抑えきれない怒りはどこに向けよう!?
毎日毎日…!!
「それで?何の話?」
「いきなり話に突っ込んできたクセに分かってなかったの!?」
「今日の月一テストの話だよ。奥ちゃんが忘れてたんだって」
「あ、そっか。今日か。ウチも忘れてた」
「結局お前もか!!……まあ、いっちゃんは勉強しなくても点数取れるからいいよね」
実はこの変態、このメンバーの中じゃ一番頭が良い。
稀にいる、“勉強しなくても授業だけで点が取れてしまう”タイプだ。
定期テスト1週間前になっても勉強せず、それでも122人中10位前半から後半ぐらいの点を取れる。
う、羨ましい…!
「そうでもないよー?ウチ、芹嬢よりバカだし」
「おだちゃん、芹都ちゃんにとってはそれ、イラッとくる発言だから」
「奥ちゃんはこないの?」
「祐香はもう諦めました」
「早っ!まだ5時間はあるから何とかなるって!」
「いいよもう〜。再テストになってやる〜。
芹都ちゃんと一緒に」
「私も!?」
「いいな〜。芹嬢。奥ちゃんとランデブー?」
「よくないわぁああああ!!!」
不吉なことを言われて、今日の朝はスタートした。
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