30.正体を暴く

山の上。小屋の前から山の下を見下ろす。

丁度目線の先には忍術学園が見える。金吾くんとしろくんが指を指し示した方角で間違いない。

それに、この小屋の中からはまた鼻がもげそうな臭いがする。臭い。また山賊だろうか。


…何故風呂に入らないんだ。全く持って意味が解らない。

気にならないのかな男ってそういう衛生面的な問題について。
うちの船の隊長たちは毎日入ってたけど他の連中は気が向いたときにしか入らないからなぁ。臭いったらない。動物系は鼻いいんだから、そういう面で気遣って欲しい。しかも背中流させるし。許さない。



…おっとそれどころじゃない。


腰にぶら下がる刀に手をかけ、小屋の横へと忍び寄る。複数の気配がする。やはり、中に誰かいるみたいだ。

さーて、とっとと正体暴いて処理しますかねぇ。ただの農民さんなら生かすし、金吾くんたちの言う通りの山賊ならば要注意。人攫いなら

















「嫌ァアアア!!」


















突然の叫び声にビクッと肩が揺れた。何の声だ。女の子。女の子の声だ。小屋の中からか。


窓は開いているが覗き込めば姿がバレる。くそ、日がもう少し低ければ。

刀に手を当て小屋の壁の隙間から中を覗くため身体を屈める。















ああ




ああ












この光景は






みたくない













「嫌ァア!や、やっぁあっ!!」













犯されている。


小さい女の子が、


複数の男に犯されている。








「何処で見つけてきたこんな上玉」

「いやぁお頭が目をつけた近くの町からですよ」

「売りに出す前に遊んじまうなんて、頭も悪いッスねぇ!」

「遊処に行く、金も、っ、ねぇからなっ、!」



「やめ、いやぁ!あっ、ぁっ、!いやぁあ!!!」











犯されている女の子の横に、ぐったりと倒れこむ子供が、もう一人。






ああ


あれはもう、だめだ










両腕をつかまれて身動きが取れない状態にある女の子は

首輪のように縄で小屋の柱に繋がれていた。



大柄の男が汚い手で触り、

女の子はただただ涙を流していた。





助けなんて来なかっただろう。

いつからこんなところに閉じ込められていた。




いつから親元から引き離されていた。





いつから、こんな扱いを受けていた。























お前は人間じゃねぇんだよ



だから、こういう扱いされても文句言えねぇんだ



啼けよ、それしか能がないんだろ



お前に自由なんてねぇよ



あーあー、これだから奴隷の躾は面倒なんだよ



もう使いものになんねぇな




売っちまおうか




香織なら良い値がつくだろ


























頭の中で何かが弾け、

私は姿を変えて窓を破壊し



小屋の中へと飛びこんだ。




私は最近感情のコントロールが上手く出来ないみたいだ。







私は山賊の首を噛み砕き



腕を引きちぎり



口の周りを全身を顔面を血だらけにした





何が起きているのか解らない状況である子供を横目に






そのまま人へと姿を戻し






一心不乱に刀を振り回し




汚らわしい男どもの命を全て奪った






返り血を思い切り浴び










気付いたときには







緑の服の忍者服の男に


刃を止められていた。
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