おっぱい警報

自称普通の男、トレイ・クローバーには悩みがある。

それは自寮の後輩たちと仲良くしてくれている可愛い妹分、オンボロ寮の監督生のことだ。

この学園唯一の女の子で、闇の鏡に誘拐?されて異世界から来てしまったイレギュラーづくめの子だ

慣れない世界で家族もおらず孤独だろうに、逞しく生きている

そんな監督生はどうもスキンシップが好きなようで、エースとデュースとは文字通り肩を寄せ合い兄弟のような距離感でいることが多い

フロイドなんかが後ろから急にギュッと抱き締めてきても驚きこそすれ嫌悪なく受け入れてニコニコしているし、カリム等顔を見る度にお互い駆け寄ってハグをしている

ルークの大きな手のひらを捏ねくり回し、バルガスの腕にぶら下がり、ジャックのしっぽに抱きついたりと、本当によく誰かと触れ合っている

驚いたのは、あのヴィルでさえ控えめなハグ程度は許してやっている様子だったことだ。

「気安く触らないで。」

くらい言いそうなもんなのに意外だな

それはまぁ、いいのだ。

学園唯一の女の子のスキンシップが激しめだとしても、妹か愛玩動物を可愛がるような感情で接している生徒が多いようだし、本人も兄を慕うような気持ちなのだろう

互いに異性とのスキンシップという感覚はないらしい

では何がトレイを悩ませるのか…それは…

「あ、トレイ先輩!こんにちは!」

とてとてと走ってきた監督生がトレイの手を取って持ち上げ、キラキラした笑顔で見上げてくる

「おぉ、監督生。これから錬金術か?」

トレイはなんて事のないように、いつも通りに返事する

しかし、意識は全然違うところにあった

フヨン

そんな擬音がつきそうなマシュマロ的な柔らかいものが手の甲に当たっている

それがものすごーく気になって仕方がない。なんなら全神経、手の甲に集中してるし、見た目より大きいなぁなんて考えている

トレイ・クローバーの悩み…それは…監督生のおっぱいであった!!

スキンシップが多い子なのは分かっている。多分他意がないってことも…

しかしだなぁ、ここは男子校で、この子は学園唯一の女の子なわけで

そして大人びていてもトレイ君とてまだ未成年の健全な男の子なわけである

このおっぱい当たってます事件はここ最近、毎日のように発生している

図書館で本を読んでいる時に

「うふふ、だーれだ。」

なんて目隠ししてきて後頭部にポヨン。

廊下を移動中に

「トレイ先輩だ!」

と後ろから嬉しそうにハグされ背中にプヨン。

パーティーの準備を手伝ってもらった際に

「わたし、チョコケーキ食べたいです!」

なんて抱きついて来てポヨヨン。と腕がおっぱいに挟まれたこともあった

この学園唯一の女の子を疚しい目で見る輩もいるだろう

こんな無防備にポヨンフヨンと色んなやつに当てているのかと思うと、トレイは頭を抱えてしまうのだ

自分には妹もいるし、オレが言ってやるべきなんだろうか…と常々考える

何も言わずに監督生が変な奴に目を付けられて、酷い目にあってしまうのは後味が悪すぎる。

これは、注意してやるべきなんだろうなぁ

トレイは長ーーーいため息を吐く

先輩から急に「おっぱいを当てないように」と言うのはどうも気が重いのだが、多分監督生は自分を兄のように慕ってくれているので

「まぁ、他のやつに指摘されるよりマシだろう」

トレイはそう結論付けた

「?」

「あー、次の土曜日、オンボロ寮に行ってもいいか?」

「はい!手土産はフルーツタルトがいいです!!」

「んっふふ、わかったよ。」

純粋の塊だ。邪気なく笑う監督生に、苦労性の男、トレイ・クローバーはちょっぴり苦笑いを浮かべた



オンボロ寮の談話室にて

「ってわけで、オレは気にしないが、変な気を起こすやつもいるかもしれないから…まぁ、気をつけろよ」

トレイは手土産のタルトを頬張る監督生にそう伝えた

監督生はなんとも言えない表情をしている

まぁ、そうなるわな。とトレイは監督生のいれてくれた紅茶に口をつける

「……ぁ…」

「ん?なんだ?」

監督生が小さな声でなにか呟いたが聞き取れず、トレイは聞き返す

「…ぁ…当ててたんです」

「……………は?」

監督生は耳まで真っ赤になっている

トレイは天井を仰いだ

んー、なんかすごいこと聞こえた気がしたんだが?

「すまん、聞き取れなかった」

正確には、はっきりと聞こえてはいた。ただ、理解が出来なかっただけで。

「だから!当ててたんです!!」

見るからにヤケクソですっ!!って感じで監督生は叫んだ

「トレイ先輩、全然意識してくれないから、当ててたんですぅ!!」

湯気が出そうな程に首から上を真っ赤にして、潤んだ瞳で監督生はトレイを見つめる

トレイはそんな監督生をまじまじと見下ろしつつ、そういや私服初めて見たなぁ。とか結構胸元の開いた服を着てるけど冷えないのか?とか考えていた

軽い現実逃避だ。

「トレイ先輩、わたしのこと、ただの後輩か妹がみたいに思ってるなって…だから、なんとか女の子として見てもらいたくって…」

トレイのマスタード色の瞳に見つめられるうち、監督生は少しずつ声量を下げて俯いていく

そして、下を向いたまま沈黙してしまった。

髪の隙間から見える真っ赤な耳が、なんだかとても愛おしく思えた

「あー…可愛いな、お前…」

トレイは眼鏡の上から顔を掌で覆う

え?なに?俺に意識して欲しくておっぱい当ててたって?

ちょっと方法はあれだが、随分熱烈なアピールしてくれてたんだなぁ

トレイは立ち上がり、監督生の前へと移動する

羞恥で顔を上げられないらしい監督生を見下ろし、顎の下に手を入れて上を向かせる

所謂、顎クイってやつだ。

「あ、あの、トレイ先輩…」

「オレに当ててたってことは、もちろん触ってもいいんだよな?」

「?!」

トレイはニッコリ笑っていた。それはもう悪い顔で、ちらりと歯を覗かせて、満面の笑みだ

「そんなにオレのことが好きだったのか。気付いてやれなくて悪かったな」

「あ、あの」

「据え膳食わぬは男の恥っていうだろ?」

トレイは鼻先が触れ合うほどに顔を寄せる

監督生の潤む瞳が限界までまん丸に開かれる

トレイの骨ばった親指が、すりすりと監督生の唇を撫でる

「覚悟しろよ、監督生」

「ひゃ、ひゃい…」

監督生は掠れた声でなんとか返事をする。トレイはにっこり笑顔を崩さないまま、監督生の服に手をかける

「…ゃ」

「ん?止めるか?」

「…優しくしてください…」

静止されても止めてやるつもりはハナからなかった。が、これはちょっと予想外だった。

トレイはまた天井を仰ぐ。そして

………すぅーーーーー………はぁーーーーーーー…と異様に長い深呼吸をしてから

「ぶち犯す」

と低い声で呟いた



☆☆☆
据え膳食わぬは男の恥なので美味しく食べました。


監督生ちゃん
やった事の割にウブだし初めてだし慣れてない。トレイ先輩は可愛さに悶え苦しんだ。

トレイ・煩悩・クローバー
正直おっぱい当たるの悪くないし注意しなくてもいいかなってちょっと先延ばしにしてたけど、他の男にも当たってると思うと面白くなかったので注意してみた。わざとだったかぁ…
大丈夫、ちゃんと優しくしました

エース&デュース
マブ。こいつと恋愛?ナイナイ!あくまでマブ。
女と男の友情はあると思いまーす!

フロイド
お前ら愛玩動物に発情できる?
でもおっぱいは陸のメスの触っちゃいけないとこって習ってるのでちゃんと避けてる。えらーい!!

カリム
兄弟たくさん!妹たくさん!なのでやましい気持ち一切無し!
監督生は俺の妹!

ルーク
触られるけど自分からは絶対触らない。紳士。ボーテ100点!

バルガス
俺様の筋肉に酔いな!!あくまで生徒だし、貧弱なので論外

ジャック
触れられるけど自分からはあんま触らない。
こっちから馴れ合うつもりはねぇ!けど、妹が思い出されて心配

ヴィル
じゃが芋小娘は恋愛対象外。でも一応レディだし懐くのは可愛いのでまぁ、ハグくらいなら許可。どちらかといえば愛玩動物扱い。




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