全部オレのお陰って訳

「あんた最近、綺麗になったわね」

美しいの化身、顔面国宝の男…ヴィル・シェーンハイトに急に声を掛けられた。

正直、普段接点のない彼からそんなふうに声をかけられ、ハルトはちょっとビビった

ヴィルはたまに部活の撮影用の特殊効果…スモークや特殊な光源等…を求めてサイエンス部に顔を出す。その時にすれ違う程度の面識だ。

居るか居ないかすら把握されてないと思っていたのに、お肌のチェックまでされているなんて…

これからはもうちょっと顔を引き締めておかないと…なんて思いつつ、トレイが焼いてくれ持ってきたお土産タルトを食べながら考える。

既に何も間に合ってない気がするが、まぁ良いだろう。

ハルトはもきゅもきゅと頬張っていたフルーツタルトを飲み込む。

「そうですか?」

「肌の潤いが増してるし、キメ細やかになったわね。何か特別なお手入れとか始めたの?」

「んー、いえ、特には…」

「そう?身体も少し引き締まってきたようだけど。」

「んー?本当に何もしてないんですけど…」

ヴィルはハルトをじっと見下ろす。

ダイエットをしているならタルトを頬張っている訳ないだろうし、今も名残惜しそうに次のタルトをチラチラ見ている姿を見れば、彼が嘘がつけるタイプでないのもすぐに分かる。

「何か心当たりはないの?最近食べ物を変えたとか、何か始めたとか」

美の秘密を知りたいヴィルがそう尋ねる。

ハルトはうんうんと唸って

「本当に何も心当たりがなくって…んー、強いて言うなら、恋人が出来たから?」

なーんちゃって…とふにゃんとだらし無く笑って見せたハルトを見下ろし、ヴィルは

「ふーん。」

と興味無さそうに相槌をうつ。

ついでにそのふにゃふにゃのえがおが気に入らなかったので、力一杯背中を叩いてやった

ハルトは勢いよく吹っ飛んだし、部室の何処からかボーテ!といい声が響いた

ボーテ!じゃねーんだよ。



「なーんてことがあったんだよね」

ハルトはそう昼間の出来事を恋人に話す

「ふーん、ベタちゃん先輩、鋭いねぇ」

ハルトは首を傾げる

フロイドは鈍感で可愛い番を後ろからぎゅっと抱きしめた

2人は今、大きめなバスタブにぎゅうぎゅうに詰まっていた

元の人魚姿に戻ったフロイドの長い尾鰭が足に搦められており、ハルトは身動きひとつ取れない

それでも恐怖心などはないらしく、フロイドにくったりと身体を預けてリラックスしきっていた。

2人でお風呂に入るのはフロイドの希望だ。

最初こそ恥ずかしがったり逃げたりしたハルトだが、毎日ひん剥かれて入浴させられる内に抵抗するのも面倒臭くなって大人しくしている。

それにまぁよくよく考えればそれ以上の事もしているし…と流されている内に慣れてしまった

一日の終わりに、人魚に合わせた温いお湯にゆっくりと浸かることが、今やすっかり習慣となった

身体を預ける間、フロイドは何度も何度も身体を擦り付けるような仕草をする

適度な刺激のそれはマーキングのようにも思えるし、マッサージのようにも感じる。

うとうとと眠たそうにするハルトの項にちゅっと唇を寄せる

「ベタちゃん先輩の使ってる化粧水ねぇ、人魚の粘液なんだよ」

フロイドはわざとらしく尾鰭を動かす。それがすっと股間を掠めると、うとうとしていたハルトの身体がびくりと跳ねた

「んぅっ。」

鼻から甘い声が抜ける。フロイドはクスクス笑いながら自分の粘液をハルトの肌へと馴染ませる。

「ハルトが毎日触ってるこれとおんなじ」

「え、そうなの?」

「あのベタちゃん先輩が満足する化粧水を身体中たーっぷり染み込ませてるんだから、肌が綺麗になるのも当然だよねぇ」

フロイドはご機嫌でハルトの肌を撫でる。へその周りにつーっと爪先を滑らせ、下腹部をそっと押し込む

「んっ」

指先がいつもフロイドのモノの先端が届く場所を、皮膚の上からトントンと刺激する。

まだ直に触られている訳では無いのに、いつもの刺激を思い出して中が蠢きぎゅっと絞まる

「んふふ。あとさぁ、ハルトはオレのせーえき、上からも下からもたっぷり飲んでるでしょ?」

「あぅ…ぅ、……フロイド、指…止めて」

「止めなぁい♪人魚のせーえきはねぇ、若返り薬の材料になる、高価で魔力の含まれた物なんだよォ」

未成年からの搾精は禁止されてっけど。と、優越を含む間延びした声が笑う。

尾鰭が快楽を与えようと明確な意志を持って、ハルトの股の間をスルスルと行き来する

太腿を閉じて何とか動きを抑えようとしても、粘液を分泌する滑らかな人魚の肌は摩擦がなく止まらない

「あ、ちょっと…フロイド…ひぃっ…」

それどころか、腿を閉じたことにより刺激が強くなってしまい、ハルトは仰け反って小さな喘ぎ声をあげた

狭いバスタブの中で抱えられ、軽く身をよじることしか出来ないハルトのソレは尾鰭に刺激されゆるゆると立ち上がり始める

「いつ見ても小さくてかぁいいねぇ、これ」

「…あっ、あっ、待って…急に擦らないでっ…!」

フロイドの指先がハルトのソレを弄ぶ。優しく握って上下に扱いたり、先端を指先でカリカリと引っ掻く

「あと、痩せたのは「夜の運動」で毎日全身使ってるからじゃんね」

ソレを弄っていた指先が、ハルトの窄まりの縁をクルクルとなぞる

「あぅ…っ…んっ…」

「中、寂しい?いじって欲しい?…んっふふ、ベッド行こっか。」

フロイドは近くに置いてあった変身薬を飲み干す

呼吸が荒くなってきた番の顎を掴み、潤む瞳を自分の方へと向かせる

「ハルトが最近可愛くって綺麗になってきたのは、全部ぜぇんぶ」

オレのお陰って訳

フロイドはご機嫌に歯を見せて笑い、噛み付くようなキスをした



☆☆☆
番を綺麗にするという免罪符?大義名分?を手に入れたフロイドは毎晩どちゃくそ張切るようになりましたとさ。

「やっぱり最近綺麗になった?あぁ、性欲の強い人魚と毎晩お風呂に入ってねっとりケアされて、ベッドの上で前後不覚になるまでぐっちゃぐちゃにされれば綺麗になれますよ」

ちょっぴり虚ろな目でそう答えるハルトと、ドン引きしつつ納得するヴィルの姿が見られたとか




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