2

イデアは監督生の隣に腰掛け、ペンを回す。Prayのやり方や注意点は既に紙に書き出した。

あとは2人の細かいルールを纏めるだけだ

イデアの手の中でペンがクルクル回る。意外と癖のない綺麗な文字の列を眺め、監督生は少し不思議な気分になる

「あとは?」

Prayの内容についていくつかルールを定め、箇条書きしていく

「痛いのや怖いのはNGで…セーフワードはredでお願いします」

「なるほど。で、redって言われたら直ぐにやめればいいんですな」

「はい。お願いします。それで…」

「ちゃんと止められたことを褒めるんでしょ。わかってきた。教えてくれてありがと」

一つ一つ褒めつつ確認していき、監督生の髪に指を通す。それだけで監督生は少し息を乱し惚けた表情を見せる

イデアはSubの扱いについて、Pray前からわかり始めていた。

数々のゲームを攻略してきただけあって、ルールの飲み込み、把握が早い

どうやらSubの監督生にとって、Dom役のイデアに説明のためとはいえ意見するのが辛いらしい

意見をする度にみるみる顔色が悪くなる。それを否定せず褒めてやることが彼にとってCareとなる、らしい

全部疑っていた訳では無いが、ほんとうに彼の世界にはダイナミクスというものが実在しているのだなと実感する。本能とは厄介なものだ。

「ところで、このルールに入ってる性行為禁止ってのは…」

ルールを確認していたイデアが箇条書きされたそれをスっと指先でなぞる

監督生は

「ん”ん”。」

と、なんとも言えない声を喉から絞り出した。イデアはつい噴き出して笑う

「どこから出たの、その声。」

「えへへ………その、性欲と同じ様に、Dom、Subにも個人によって欲求の強さに差があります…それで俺はSub性が強いので…」

Pray中に勃っちゃうんです。

監督生は羞恥心で死にそうな顔をしつつ、隣のイデアをちらりと見る

「Prayはパートナーと行うことが多いです。パートナーはその密接な関係上、恋人になることが多くて、その、Prayの延長で、…することもあります」

「あー、把握。ごめんね、気まずいこと言わせて…」

「いえ、聞いてくれて助かります」

監督生は先程から撫でてくれる手に頬を擦り寄せる。

この世界に来てからPrayを行っていなかった反動か、少しの刺激に本能が過剰反応している気がする。あぁ、早くCommandが欲しい…。

「あ、その、勃ってもそこは」

「わかってるわかってる。そこには触れないから。物理的にも」

イデアがヒラヒラ手を振る

「じゃあ、始めましょーか」

「はい、お願いします」

イデアは立ち上がり、ゲーミングチェアへと腰を下ろす

監督生はベッドに腰掛けたまま、期待と少しの不安が入り交じった目でイデアを見つめる

イデアは紙にまとめた基礎的なCommandを確認し

「Kneel(おすわり)」

と指示を出した。監督生の脳を甘い痺れが支配する。

イデアはDomではないし、その言葉に強制力はない。しかしCommandを欲していた身体も頭も、抗う気など全く起こさせない。Subの本能が疼く

「んっ」

監督生は少し喘ぐような鼻に抜ける声を出し、ベッドから降りて床にぺったりと座り込んだ

「Good」

「ぁ、」

イデアを見つめる瞳に涙の膜が張り、蕩けそうなほどの欲望が渦巻く。

もっと褒められたい。先程のように撫でられて、ドロドロに甘やかされたい。早く次の指示が欲しい。もっと、もっと…

「Come(来い)」

「っ!」

監督生はハイハイの要領で四つん這いにイデアの元へ向かう。その姿はまるで犬のようだ

イデアにはしっぽと耳の幻覚が見える気がした。

自身の足元に辿り着き、先程のようにペタンと腰を下ろして見上げてくる監督生に、思わず唾を飲み込む

蕩けた瞳、扇情的な表情、自分従うことで喜びを感じ惚けて薄く開いたままの唇…全てがエロい。

「Good。拙者、猫派だけど今だけは犬派になりそう…可愛い」

監督生の頭を撫でてやりつつ、先程のルールを思い出す

こりゃPrayの延長で性行為したくなる訳ですわ。

Goodの一言で恍惚の表情を浮かべ、手のひらに擦り寄ってくる姿はとても愛らしく、思わず独占したくなる

「Look(見て)」

「んっ」

監督生はイデアの目から視線を外せなくなる。見下ろす瞳が熱を孕んでいる。Domが満たされている…その感覚が監督生の下半身を疼かせる

Commandに支配され、熱に浮かされたように何も考えられなくなる。

「監督生氏、気持ち悪く無い?大丈夫?」

「……ぁ」

「Say(言え)」

「…んん……、気持ちいい、です」

荒く熱っぽい吐息と共に、掠れた声が答える

「はぁ…いい子…可愛いですなぁ。間違った道に進みそう…新たな性癖開きますわコレは…」

イデアは猫にするように顎の下を撫でつつ髪を指で梳くようにしてやる

監督生は気持ち良さに身を委ね目を閉じた



「ありがとうございました…すごく良かったです」

Prayを終えた監督生はとても満足していた。イデアとはとても相性が良かった。

多分スペースに入りかけていた。まだ多幸感が抜けきらず、足元がふわふわする

そして案の定、勃った。

「ん。そのままじゃ気持ち悪いでしょ。シャワー浴びて処理してきてもいいですぞ。それじゃあオンボロ寮まで帰れないでしょ」

「ん”ん”…処理……お言葉に甘えます。すみません」

「いいから早く行きなよ」

監督生はイデアに背を押され、シャワールームへと消える

イデアはしばらく閉じたシャワールームを見つめ、水音が聞こえてくるのを確認してから

「はぁ~~~…」

と長いため息を吐いた。

ブカブカのサイズの大きい部屋着を着ていたからバレなかったが、イデアのそれも勃っていた

監督生曰く、Prayは定期的に必要らしい。長くとも月一、出来れば週一位でお願いしたいと言っていた

「次はエッチありにして貰えないかな…せめて射精だけでも…」

イデアは煩悩に素直なそこを眺めて、ボソリと呟いた



☆☆☆
にわかなんで間違ってたらすみません。ファンタジーなので許して
この監督生君で違う人とも書きたいですね!

だってDom/Subのイデアさんが夢に出たから…
説明多めで中々進まなかったんですけど、夢の内容では
「こんなにエロ可愛い子が処女なわけない!!」って発狂したイデアに
「元の世界でも処女で童貞でした…どっちも貰ってください…」って感じでした。書けるといいね!!

[ 385/554 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -