監督生君、Subだってよ

あてんしょん
・Dom/Subユニバース
・にわか知識
・監督生の世界にはダイナミクスがあって、ツイステッドワンダーランドには無かった世界線
・監督生君はSub
ふわっと読んでください



イデアは混乱していた。急にオルトに連れられてやってきた監督生が

「お願いします!虐めて褒めて下さい!!」

と意味のわからないのとを土下座せんばかりの勢いで言ってきたからだ

勢いの割に小声ではあった。一応、恥はあるらしい。

しかも部屋の前。まぁこれはイデアが警戒して扉を少し開けて顔だけ覗かせ、部屋の中に入れてやらなかったからだが。

「え?なに急に。なにかの罰ゲーム?エロゲのやりすぎでは?どういうプレイなのそれ。ドッキリ?カメラある?てか何でオルトと一緒に?ちゃんとした説明求む」

「兄さん、とりあえず中に入れてあげて?ここだと目立つよ」

オルトにそう促され、ちらりと周りを見る

珍しい来訪者が寮長室前で気の狂ったことを言い出したので、何人か遠巻きに様子を伺っている。

このままでは監督生と変態プレイをしているオタク寮長という噂がたってしまいそうだ

「…入って。」

イデアは渋々監督生を自室へ招き入れた



オルトは2人でちゃんと話してね。と言い置いて部屋から出ていってしまった

「飲み物いる?って言っても、これしかないけど」

「おっと!ありがとうございます」

イデアがポイと野菜ジュースの紙パックを投げ、監督生は慌てて受け取る。一日に必要な栄養素が入っているやつだ。ちょっと高めのやつ

イデアはどこか気まずそうにしている監督生を見つつゲーミングチェアに深く腰掛ける

「あ、悪いけど監督生氏はそのへん適当に座って」

来客など想定していないイデアの部屋に予備の椅子などないため、監督生は促されるままベッドに腰掛ける

「で、さっきのはなんだったの?」

と突然の奇行の理由を尋ねる。何だかんだで可愛い後輩が心配なのだ

「あの、さっきオルトにも聞いたんですけど一応…この世界に、ダイナミクス、というものは無いんですか?」

「だいなみくす?」

聞きなれない言葉に首を傾げると、監督生は絶望の表情でため息を吐いた



監督生の話をざっと纏めるとこうだ

彼の世界には男女の他にもうひとつ性がある。

「支配、管理したい」「世話を焼きたい」「褒めてやりたい」という本能を持つのがDom

逆に「支配、管理されたい」「尽くしたい」「褒められたい」という本能を持つのがSub

そのどちらにも切り替えることが出来るSwitch。そしてダイナミクスを持たいない人はNormalと呼ばれるらしい

DomとSubの間でPlayと呼ばれるコミュニケーションを行い、欲求を満たすことが出来る

SubはこのPlayを行ない欲求を満たさないと体調を崩してしまう。ちなみに、Domには欲求を満たされないことによる体調不良は無いらしい。



「で、俺はそのSubなんです」

監督生から彼の世界の性について聞かされたイデアの第一声は

「何それエロ同人?」

であった。監督生はにっこり笑う。予想通りの発言だ。

「まぁ、そんな感じで捉えてもらえると助かります。で、俺はそのエロ同人世界の人間。だから助けて欲しいんです」

「待って待って。なんで拙者なの?普段一緒いる陽キャ共に頼みなよ!」

「じゃあ逆に聞きますけど「俺、エロ同人の主人公!虐めてっ!」って友達に言われたらこいつ頭おかしいなってなりません?」

「いや、拙者、今、そういう目でキミのこと見てるからね?!」

「でも、エース達に話すよりは理解が早いと思ったし…現にこういうエロ同人で解決したじゃないですか」

「いや、何も解決はしてないけど…そもそも異世界から来てる時点でなんでもありっすわ…なぁ!!」

「んぶぇっ!」

イデアは何故かドヤ顔をしている監督生に背中にあったクッションをぶん投げる。顔面に見事命中し、監督生は呻いた

頼られたのは嬉しいが、その理由がオタクだったからと言うのは少し腹が立ったのだ。

オタクなら誰でもよかったのでは?とイデアは少しモヤモヤしたのだが、実は監督生はイデアを選んでやって来た

イデア程ではないが監督生もゲームや漫画が好きで多少オタクの気がある。

監督生から見ての仲間意識と彼ならわかってくれるという謎の信頼があったのだが、そこまでは伝わらなかったようだ

あとは単純に監督生の好み。ぶっちゃけイデアの顔が好きだった。命令されるなら赤の他人より気心が知れて好みの顔の方がいろいろ捗るってものだ

「で、拙者はCommand?で監督生氏に命令して、出来たら褒める。それで良いわけ?」

「やってくれるんですか?」

「オルトが連れてくる前に、君の身体のスキャンしたでしょ。データがボクのパソコンにも来てたけど、何も問題なかった」

でも、オルトがわざわざ連れてきた。データ上には問題がなくとも、体調を崩しているように見えたのだろう。

イデアは大切な弟を信頼している。

それに、監督生が趣味の特殊性癖に巻き込みたいだけにしては設定が凝りすぎている。嘘をついているようには見えない。

「まぁ一応可愛い後輩ですし?そのplayも正直面白そうだし」

「じゃあ、申し訳ないんですけど、ルールと注意点、セーフワードなんかの話もさせてください。色々守ってもらわないと、余計に体調不良を起こして、最悪死ぬこともあるので…」

ダメもとで頼みに来たとはいえ、本当にplayして貰えるとは思っておらず、監督生は少し驚くと同時に申し訳なくなる

頼む側なのにあれこれ注文を付けるようで非常に気まずい。

そんな監督生の様子を察して、イデアは笑いつつ手を伸ばして弟にするように頭を撫でてやる

「あぁ、拙者、ゲームの前にちゃんと説明書を読み込むタイプなので大丈夫でござるよ」

「…、ありがとう、ございます」

頭を撫でられたことにより監督生の目が細められ、少し欲に満ちた瞳が揺れた




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