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おまけ。フった後のフロイドの退屈な一日。

朝。小エビちゃんのランチ作りから開放されたはずなのに早起きしてしまう。目が冴えて二度寝ができず、暇なので自分とジェイドの朝食を作った

ジェイドからは「監督生さんの為に作ったのでは無いのですか?」と尋ねられ、フロイドは顔を顰める

「別れたし。」

「別れちゃいましたか。」

ジェイドはそれ以上特に何も言わなかった。聞こうともしなかった。

フロイドは苛立ち紛れに朝食のオムレツにフォークを刺す

そのオムレツは無意識に小エビちゃんの好みの味付けで、小エビちゃんの好きな半熟で、小エビちゃんの嫌いな人参が入っていない。

「クソッ」

「食べないのですか?」

「…ジェイド、それ、食べてもいーよ。」

フロイドは朝食を食べずに寮を出た



授業はいつも通り退屈だった。スマホで小エビちゃんにメッセージを送ろうとして止める。

何してんの俺。小エビちゃんとは昨日別れたじゃん。

そういえば、昨日までは退屈になると小エビちゃんにメールしてた。授業中はたまーにしか返事は来ないけど、それだけでも楽しかった。

休み時間になるとパタパタ走ってきて、メールの返事を直接言いに来る。メールの意味ないじゃん、バカじゃん。なんて言いつつ、結構嬉しかった

「……。」

フロイドはスマホの電源を切った。



「珍しい。今日は監督生さんと一緒ではないのですね。」

食堂にて。横に腰掛けるとアズールはそう言った。

最近はずっと小エビちゃんと2人でご飯食べていた。

「……。」

フロイドの顔から表情が抜け落ちる

「昨日別れたし。」

「そうですか。思ったより長続きしましたね」

アズールは興味無さそうに返事して、サラダを食べる

フロイドも自分の食事に手をつけようとして皿を見て、ぴたりと手を止める。

また小エビちゃんの好きそうなものばかり、無意識に選んで取っている

「…食う気無くした。ジェイド食べて。」

「おやおや。」

ジェイドは不貞腐れたような顔をする片割れから皿を受け取りつつ

「フロイドの皿にキノコのアヒージョがのっているなんて…明日は雨でしょうか」

と呟く

俺は嫌いだけど、小エビちゃんはキノコが結構好きなの。とは、何故か口に出来なかった



廊下をぶらぶらと歩く。気分が晴れない。退屈だ。いつも何してた?

目が勝手に、小さな背中を探す

小エビちゃんと似たような背格好のやつが歩いていると、ついついそちらに視線が行ってしまう。

フロイドはポケットから飴を取り出し、袋を破って口に入れる

「棒付きキャンディを舐めながら歩くと危ないんですよ」

なんて、口うるさく言うやつは隣にいない。好きにしたっていいのに、何だか気分が悪くて飴を一気に噛み砕く

「あぁ、クソッ…なんでこんなイライラすんの…」

何から何まで最悪の気分だ。



部活に出ようとしたのにカニちゃんとウミヘビ君のせいでご機嫌ななめになりバックれたフロイドは、イライラしながら目的もなく歩く

なんでみんな俺に小エビちゃんの話をすんの。

なんでみんな別れたって言うとやっぱりって顔すんの。なんでこんなに小エビちゃんのことばっかチラつくの。

…なんでアイツが告白すんの。俺の小エビちゃんなのに。俺の

「小エビちゃん…」

小エビちゃん、今、俺のじゃない。

俺が、飽きた、小エビちゃん。
俺が捨てちゃった。

フロイドは急に青ざめる。

「なんでぇ?なんなの、これ。」

フロイドの足はオンボロ寮へと向かう。歩くのすら焦れったくて、全力で走る。

小エビちゃん、俺のじゃなくなった。小エビちゃん、誰かにとられちゃう。だって、俺のじゃないから

急に焦ってきた。急に怖くなった。横にいるのが当たり前になってたから、居なくなるとか考えもしなかった

だって、俺が飽きたって、アズールもジェイドも誰かのもんになる訳でも離れる訳でもない

そのうちまた、飽きることにも飽きて、いつもの関係に戻る

でも、小エビちゃんは?

オンボロ寮の玄関を思い切り叩く。早く出てこい。早く、早く、早く!!

扉が開く。

「何か用ですか?」

と他人行儀でよそよそしい態度の小エビちゃん。おれの恋人じゃない小エビちゃん

「小エビちゃんさー、俺以外のやつと付き合うの?」

お願いだから、誰とも付き合わないって言って。俺の小エビちゃんだって言ってよ。

ねぇ、小エビちゃん


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