爪研ぎ

ラギーが寮へ戻ると、談話室のソファーでレオナが眠っていた

そのソファーのすぐ側の床に座り込んで、ハルトがレオナの爪切りをしている。

まるで王様と召使いのような光景に、ラギーはシシッと笑い声を漏らす。獅子も油断しきって身を委ねている様子で、手を触られても好きにさせてやり、穏やかに寝息を立てている

ハルトはいつものぽやぽや間の抜けた表情ではなく、珍しく真剣な顔をして集中しているようだ

怪我などさせないように、丁寧に爪を切りヤスリで整えている

「へぇ、レオナさんの爪を切るなんてすごいっスね」

ラギーはケラケラ笑って低い位置にあるハルトの頭を撫でた

ハルトは手を止め、ラギーを見上げ首を傾げる

「そうですか?頼んだら普通に切らせてくれますよ」

「頼んだらって…頼み事を素直に聞くような人じゃないでしょ、この人」

ラギーはスヤスヤ眠っているレオナを指差す

「一体どう頼んだんっスか?」

「…え?いや、ほら、普通に」

ハルトは何故か表情を固くし、ラギーから視線を逸らすように爪切りを再開した

「普通って、どんなんスか」

ラギーは妙な態度が気になり、もう一度尋ねる

「え?んー、えっと」

ハルトは何故か顔を赤くして、しどろもどろになっていく

「いや、その、だから、普通に…」

「教えてやりゃいいじゃねーか」

いつの間にか目を覚ましていたらしいレオナは、身体を起こしつつ笑って口を挟む

「わっ、起きてたんスか」

「頭の上で騒がれりゃ起きるに決まってんだろ」

驚くラギーを横目にハルトはそっと立ち上がりじりじりと下がろうとする。勘は鈍い方だが、嫌な予感がしたのだ

レオナはくわぁと欠伸をしつつ、逃げようとしたハルトの腰に腕を回して自分の膝の上に座らせる

「れ、レオナさん…!」

慌てた様子のハルトを見下ろし、おもむろに口を開く

「「僕が辛いから爪を切らせてください」って可愛らしく頼んできたから、切らせてやったんだよ。なぁ?」

レオナは、何とか口を塞ごうとしてくるハルトの後頭部を押さえ込んで自分の胸に埋めながらクツクツ笑う

ラギーは涙目で腕から逃れようと藻掻くハルトを見つめ首を傾げた

「なんでレオナさんの爪が長いとハルト君が……あ。」

ラギーがなにかに気がついたように途中で口を閉ざす

ハルトはラギーのなんとも言えぬ生温い視線に、耳まで赤くして大人しくなった

「なぁ?今夜俺にどうされんのか考えながらやってたんだろ?」

レオナは腰を押さえていた手を少し下へと滑らせる

ハルトの身体が小さくビクリと跳ねた

「でもこんなに短くしちまって良かったのか?お前、爪立てられるの好きじゃねぇか」

何処に、とはいちいち言わなかったがハルトはばっと勢い良く顔を上げてレオナを見た

何か言いたそうに口を開くが、言葉にならないようでパクパクと開閉を繰り返す

「カリカリ引っ掻かれんの、好きだろ?」

「っ!!」

レオナは機嫌よく笑って、拘束する手を離してやる。ハルトは

「レオナさんのばか!」

と言い置いて脱兎のごとくラギーの横を走り抜けて行った。

「………レオナさん。俺をアンタらのプレイに巻き込まないで欲しいっス」

ラギーは呆れたようにそう言ってため息を吐く

「てか、いつの間にあの子に手ぇ出てたんスか。ちょっと前まで発情期も交尾も知らないようなかわい子ちゃんだったのに」

カリムやシルバー程ではないが、いらふわ空間を作り出すことのある純情そうなハルトを思い出す

ちょっとでも下ネタでからかえばすぐに真っ赤な顔で逃げ出すか、意味がわからず首を傾げて笑われてる様ないい子ちゃんが、随分とこのライオンに仕込まれた様だ

ライオンはハイエナの物言いたげな視線など何処吹く風と受け流し、ニヤニヤと整えられた爪を見て笑う

「随分と丁寧にしやがって…余程虐められたいらしいな」

「あーあ、ハルトくん、可哀想」

ラギーは恐らく今夜大変な目にあうだろうハルトに少し同情した



ラギーの予想通り…その日の晩、レオナの自室にてハルトは太ももを震わせ喘がされていた

「どうした?何か物足りなさそうだな?」

レオナは組み敷いた恋人を弄びながら穏やかな声でわざとらしく尋ねる

爪を短くされた仕返しなのだのだろうか、いつもなら愛撫する際少し乱暴に爪を立てるのに、指先で軽く優しく触れるだけの刺激を繰り返される

じりじりと熱が溜まっていくのに、今ひとつ決め手にかけ、焦れったくてイケそうなのにイケない

レオナはハルトをうつ伏せにさせ、後ろから覆い被さるようにしてブツを扱いてやる。もちろん、爪など立てぬように、優しくゆるゆると穏やかに

いつもなら歯型がアザになって残るほど噛み付く項も、ザリザリと舐めるだけに留める

腰使いも緩やかに、わざといい所は刺激しない様に避けて、ゆったりと出し入れする程度にしてやる

ハルトはゆるゆるの快楽が物足りず、無意識に自分で腰を動かそうとした

レオナはそれにすぐ気がつき、クツクツと喉の奥で笑って動きを制す様に腰を掴む

「随分可愛いことするじゃねぇか。だが、勝手を許した覚えはねぇぞ?」

「うぅっ、レオナさん…」

ハルトは涙目で体を捻って何とか覆い被さる男を見上げる

身体中、中途半端な刺激で物足りなくてジンジンと疼く

ソレも乳首も痛いくらい引っ掻いて好き勝手弄んで、思い切り噛み跡を残されて、意識が飛ぶ程腰を振られて…

そんな交尾に慣らされてしまったハルトは、今更こんな半端な刺激では物足りなくて焦れったくて頭が蕩けてしまいそうになる

「レオナさん…足りないです…いつもみたいにして下さい…」

「いつもみたいに?こうか?」

レオナはわざとらしく尋ねながら、尿道を穿る様にカリカリと爪を立ててソレを刺激する

「んあぁっ!!」

突然の強い快楽に、大きく仰け反ったハルトの肩を思い切り噛みつく

「いっ!!ひぅっ…あぁっ…」

「んで?ここをカリカリするだけで満足か?」

先端を引っ掻いてやりながら、レオナはまたわざとらしく尋ねてやる

ビクビク身体を震わせ肩で呼吸しながら、ハルトはきゅうとレオナを締め付ける

「やっ…やらっ…おしりも……奥っ、トントンしてっ」

「仕方ねぇなぁ…ほらよっ」

「ひぐっ!!」

正しく獣のように勢い良く奥を抉るように腰を打付ける

ハルトは喘ぐことすらままならず、シーツを握りしめ歯を食いしばる

「ここをこうやってトントンされながら、先っちょ引っ掻かれると興奮するんだよなぁ?」

「ひぎっ…んんんっ…っ」

「おら、ちゃんと喘げ」

「れ、レオナしゃんっ…ああぁっ!!」

レオナが首筋に牙を立てると、ハルトは達して欲を吐き出した

「ひやあぁっ!れ、レオナしゃ…っ…あっ…ひぃっ」

「ヘバんなよ…これから本番だろうが」

イこうが泣こうが関係なく、レオナは腰を休めることなくハルトの弱い所を攻め続ける

ハルトは気を失っても快楽で叩き起され、恋人が満足するまでイかされ続けた



「身体中痛い…」

「はっ。お前がもっともっとって強請るから悪いんじゃねぇか」

ハルトを後ろから抱えて、身体に出来た真新しい傷に薬を塗ってやりながらレオナは笑う

「なぁ?俺以外の奴に今更優しく抱かれても感じれないだろ?」

「………。」

真っ赤になった耳を口に含み、軽く牙を立て

「今度は切り過ぎねぇように気を付けないとな?」

とわざとらしく爪をチラつかせる

ハルトは整えられた指先を見つめ

「次はもっと短くしてやる…」

と蚊の鳴くような声で呟いた



☆☆☆
乳首もソレも引っ掻きまくったのでお薬たっぷり塗ります

「ひぃんっ…もうお薬いいですっ…お薬塗らないでっ…ひぅっ…」

「あぁ?傷になったら次から遊べねぇぞ。我慢しろ。…イったら塗り直しだぞ」

「もぅ終わりにしてっ…んううっ…!」

「ほら、はじめからだ」

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