猫と狩人とライオン
猫は首根っこを摘まれると脱力することが多い
これは鎮静反応と呼ばれ、母親に運ばれやすいように動きや鳴き声を少なくする本能だ
「ふむ、やはりネコ科の獣人にも効果があるようだね」
頭上から降ってくる低い声に、ハルトは目を白黒させてペタンと耳を伏せる
しっぽを太腿に巻き付けて怯える様子を見せるハルトを観察しつつ男は少し微笑む
ハルトはつい先程まで、日当たりの良いベンチで気持ちよく昼寝をしていたのだが
ふと気配を感じ薄目を開けると目の前には手が迫っており、抵抗する間もなく首を掴まれ地面に組み敷かれた
首を掴まれ脱力してしまい、本能に抗えず大人しくしているハルトを見下ろし、ルークは機嫌良く
「ロア・ドゥ・レオンの狩りの参考になりそうだ」
と言った。ハルトの耳がぴくりと動く。自身を押さえつける男を睨み上げ
「俺は猫だけど、結構義理堅いんだ。レオナさんのことは何も言わないよ」
と目を細める
「構わないさ!君の体に尋ねるだけだからね」
ルークは朗らかに笑ってハルトの尻尾の根元を掴んだ
「んぎゃっ!」
「ふむ。ムシュータンポポもだが、獣人は尻尾が弱点のようだね」
ニコニコと楽しそうにしながらルークは尻尾の根元から手を離し、臀部をポンポンと叩く
ハルトがビクリと身体を震わす
「これも効くようだね」
ルークは目を細め、ポンポンと刺激を続ける。ハルトはしっぽの毛を逆立てて
「にゃあぁ〜…」
と力なく鳴いた。
獣にとって背後をとられているのはただでさえ気持ちの良い場面ではないというのに、神経の多く敏感な急所を好き勝手弄られプライドが大きく傷つく
特にこのハンターは、ここ最近執拗にハルトを追い回し狩ろうとしてくるのだ。
いっその事、悪意を持っていればいいものを、ただただ純粋に楽しみたいだけというのが逆に怖い。
いつもニコニコして心が読めないと言うか、得体が知れないというか…
そんな苦手としている人物に首根っこを捕まれ、生死を握られている状態にある。しかも一息に仕留めるでもなく、今はただ弱点を炙り出そうとしている
猫にとって尻への刺激は性的快感にも繋がるところなので、これ以上続けられると色々ヤバい
蛇に睨まれた蛙ならぬハンターに睨まれた子猫は、緊張やら恐怖やら羞恥やら色々限界を迎えたようで
「レオナさぁぁあん!!!助けてえぇぇぇ!!!」
と急に泣き叫びはじめた
ルークは少し目を丸くして
「おや、泣かせるつもりはなかったのだが」
と言いつつ、興味深そうにする
この猫は追い回す度に上手く立ち回ってあと一歩と言うところで不敵に笑ってすり抜けて行ってしまうのだが、捕まえてみれば案外非力のようだ
先手を取るのが得意な分、予想外や想定外な事に出くわすとパニックになりやすいのかもしれない
ルークはにゃーにゃー泣く猫の新たな一面を楽しんでいたが、不意に何かに気が付くとばっと飛び退いた
一瞬前までルークが居た場所を火球が撃ち抜く
上からの圧迫が消えると同時にハルトも素早くルークとは逆の方向に飛び退いて、火球を放った主…レオナの背後に隠れた
「ったく、毎度毎度…コイツに手を出すなと何度言わせりゃ気が済むんだ」
機嫌の悪そうなレオナがペンを構える。ハルトはレオナの背中から顔だけ見せて、涙目でキッとルークを睨んだ。
臀部を触られた感覚がまだ残っているのか、尻尾はボンボンに逆立ったままだ
ルークはニコニコと笑って
「フラれてしまったようだね」
と敵意がないことを示す様に両手をあげる。
「ハンッ。そりゃいい気味だ。とっとと失せろ」
レオナは腰に手を当てて顎を上げ、威圧的に笑う
「少し遊びすぎてしまったようだね。仕方がない、失礼するよ。」
ハルト君、また会おうとニコニコ笑ってルークはあっさり身を引いて2人に背を向ける
「二度と来んな!」
ハルトはレオナの腕の間から顔を出し、ルークの背中にべーっと舌を見せた
「………。」
レオナはルークの背中が見えなくなるのを確認してから、きゅっと脇を締めた
「んぎゃっ!レオナさん、挟まってる!」
首をレオナの腰と腕に挟まれたハルトはじたばた藻掻いてと頭を抜こうとするが、レオナはニヤリと笑って力を強める
「レオナさん!?ねぇ!レオナさん!絞まってるんですけど?!」
「そうだろうな。」
しっぽでペシリとハルトの尻を叩きそのまま歩き出したレオナに、何を言っても無駄だと察したハルトは諦めた顔をしてとてとてと続く
「助けてくれてありがとうございました、レオナさん」
ハルトは上目遣いでレオナを見つつお礼を言う
レオナはそれを見下ろし、顔を近づけて…
「…変態狩人くせぇ」
と顔を歪めた
「んげ!」
「ったく。風呂いくぞ風呂。」
レオナはハルトの頭を解放してやり、胸ぐらを掴む
そして突然の事に目を白黒させているハルトの首筋に思い切り噛み付いた
「んぎゃっ!レオナさん、痛いです!」
「相変わらず色気のねぇ声だな、お前は」
首を押さえて涙を浮かべるハルトをひょいと肩の上に担ぎ、レオナは寮へと向かう
レオナの頬を、ハルトの長いしっぽが撫でる
「あんな奴に好き勝手されやがって。余程お仕置されてぇようだな」
「そんな無茶苦茶な…俺は被害者ですよ」
顔が見えないのをいい事にムスッとしたハルトのしっぽの根元を思い切り掴んだ
「んぎゃっ!」
「今から覚悟しとけよ」
レオナが笑う振動が伝わりハルトは諦めて脱力し身を委ねる
「……お手柔らかにお願いします」
レオナはその様子に機嫌良さそうにしっぽを振った
☆☆☆
レオナはこの後首根っこ押さえ込んで滅茶苦茶お仕置エッチする
ルークもそのうち本気で捕まえて無茶苦茶ケツ弄って鳴かす
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