愛しい君にキスを

「トリックスター、どうかこの私と付き合って貰えないかい?」

ルークは膝を折り、想い人の前へと跪く

監督生はぱぁっと表情を明るくして笑ったが、なにか思い出したようにすぐに表情を曇らせる

「……嬉しいです。けど、ダメです」

「よければ、理由を聞いてもいいかい?」

「…だって、ボク、いつか元の世界に帰っちゃうかもしれないんです。」

恋人に二度と会えないかもしれないじゃないですか。と監督生は辛そうな表情でルークを見下ろす

ルークは立ち上がって、監督生の手を取って口付け笑った

「ノン!心配いらないよトリックスター!なぜなら、私はハンターだ」

君がどこへ行こうと、必ず見つけだして捕まえるよ。

「例えそれが異世界でも、ね?」



オンボロ寮の談話室で、監督生は窓を見つめて座っている

ルークがキッチンからティーセットと茶菓子を持って出てくる

「どうぞ、トリックスター」

「ありがとうございます、ルーク先輩」

ルークが淹れた紅茶を1口飲んで、美味しいと花が咲いた様に微笑む

「キミは、私の出すものを警戒しないんだね。毒でも入っているかもしれないよ?」

「入れる予定があるんですか?」

「ないね!」

ルークは朗らかに笑って言いきった。ほらやっぱりーと監督生は、肩を揺らす

「入れても良いですよ。ルーク先輩がそれでいいなら」

「熱烈な愛の言葉だねトリックスター」

ルークは監督生に歩み寄り鼻先にキスをする

「ふふ、擽ったいですよ」

「この程度で音を上げてもらっては困るね」

ルークは恋人の髪に、額に、頬にとキスを落としていく

ケラケラ笑って身を捩る恋人を見つめて微笑み、そっと首に手をやる

監督生は、相変わらず警戒も何もしない

ルークが自分を害することが無いと、わかり切っていると言うように

「キミは、本当に私を信じているんだね」

「?」

監督生は不思議そうに首を傾げる

ルークは屈んで首にも口付けた。そして愛おしそうに首筋を指先でなぞる

「ルーク先輩って、キスするの好きですよね」

「そうだね。君を見ていると、どうしても触れたくなるんだ」

ルークはニッコリと笑って、トントンと自分の唇を指差す

「出来れば、トリックスターからもしてくれると嬉しいんだけどね」

「えー…」

ダメかい?とルークは監督生の前に跪き首を傾げる

「うっ。目を、閉じて貰えますか?」

「こうかい?」

ルークが目を閉じる。監督生はしばらくルークの顔を見つめる

綺麗な整った顔をしている。さらさらの金糸に切れ長の瞳…僕の愛しい人

監督生はそっと口付けた

「唇じゃないのかい?」

「…勘弁して下さい」

監督生は顎にキスをしたのだ。ルークは監督生の頬を包み込み、唇にキスをする

「君は恥ずかしがり屋だね、トリックスター」

ルークは愛しい愛しい恋人と額を合わせる

「これでも頑張ったんです…。」

「知ってるさ」

ルークはまた首に口付け、席に着く

監督生は少し赤い頬に手で仰いで風を送る

「ルーク先輩は本当にキスが好きですね 」

「そうだね。トリックスター」

ルークは恋人を見つめて目を細める

トリックスターはキスの意味を知らない

首へのキスは



☆☆☆
君が獣なら私は鎖に
君が鳥ならば私は籠に
君が逃げるならば、私はきっと




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