根腐れ

「おはよーハルト。朝っスよー」

ラギーがカーテンを開ける。ハルトはうーんと唸って射し込んだ光とは反対方向に寝返りを打つ

「コラコラ、ダメっすよハルト。ちゃんと起きて」

「んー…」

「朝ご飯の準備も済んでるし、あとは食べるだけっスよー」

「んー」

「俺がいなきゃダメっスね、ハルトは。ほら、起きて」

ハルトは諦めたようにゆっくりと体を起こし、ベッドの縁まで移動して足を下ろす

「そう、いい子いい子」

ラギーはまだ眠そうなハルトの額に口付ける。

「さぁお着替えしましょうね」

ラギーはハルトの服をぬがし始める

ボタンを一つ一つ丁寧に外し、片腕づつゆっくり脱がせてやる

ハルトは何も疑問に思わないようで、ラギーにされるがままになっていた

パジャマ替わりの大きめのシャツを脱がせ、制服を着せてやる

「はーい、今度は下もお着替えするっスよ」

ラギーはぼーっと自分を見つめるハルトを愛おしそうに目を細めて見返し笑った



「おい、何してんだ 」

レオナは、ラギーとハルトの食事の様子を見て顔を顰める

「何って、ご飯じゃないっスか」

「………。」

何を当たり前のことをとでも言いたそうなラギーに、レオナは更に眉を寄せ不機嫌そうに唸る

「ほらハルト、あーん」

ハルトは不思議そうにレオナを見つつ、雛鳥のように口を開ける

ラギーは一口ずつ、介助してハルトに食べさせていた

「ラギー」

「ん?お水っスか?」

ラギーはニコニコ笑って自身の口に水を含み、口移しで与える

レオナはラギーの首根っこを引っ付かみ席を立った

「ラギー。ちょっとこっち来い。」

「おっとと。いい子で待ってるんスよ」

コクコク首を縦に振るハルトに軽く手を振り、少し離れて立ち止まったレオナを見上げる

「どう言うつもりだ。」

「何がっスか?」

ラギーは目を伏せ、とぼけたように返事をする。レオナは舌打ちした

「あれは番を甘やかすなんてもんじゃないだろが」

ハルトを顎で指す。ハルトは目の前の食事に自分から手を付けようとしない

ラギーから食べさせてもらうのをただ大人しく待っている

「てめぇが誰を番にしようがどうイチャイチャしようが関係ねぇが、あれはどう見たって」

「レオナさん。あの子のことだけは、レオナさんでも口出しすることは許さないっスよ」

ラギーはレオナの言葉を遮って、威嚇するように睨め付ける

「あの子は俺のもんだ。俺がいないと生きられないようにして、誰にも取られないようにしたんっス。あの子のことだけは、アンタにも一切譲らない。」

話しはそれだけっスか?じゃあ食べさせてあげないといけないんで。といつもの人好きする顔で笑って、ハイエナは恋人の元へ戻る

レオナははぁー…と長いため息をついた

ラギーは幸せそうに笑って給餌してやっている

ハルトはいつからか、何も疑問に思うことなくただそれを受け入れるようになった。

「ハルトは、俺がいないとダメっスねぇ」

ラギーはいつも幸せそうに、とろけた笑顔で呪いの言葉を吐くのだ

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