理想のデート

「ケイト先輩…少しいいですか?」

背後から声をかけられ振り返ったケイトの目の前には、鎖骨があった

「おっと?大きいねー。リーチ兄弟くらいある?」

ケイトは一歩下がって、声をかけてきた人物を見上げる

サバナクローの寮服を着た生徒は、耳をペションと下げて

「そこまではないです、たぶん。」

と笑う。

「少し、お話いいですか」



ケイトは正直、この大きな獣人に呼び出された時マジカルペンをいつでも取り出せるように準備したし

何か不味いことに巻き込まれるのではないかと身構えていた

しかしそれは全くの杞憂で、拍子抜けする程可愛らしい要件だった

「すみません、付き合ってもらっちゃって」

ハルトはニコニコとスイーツを体に似合わない小さなフォークで突きつつそう言った

ハルトの話しとは…

「美味しいスイーツのお店を教えて欲しいなんて、見た目によらず可愛いこと聞いてくるよね」

「マジカメ見てて、ケイト先輩なら知ってそうだなって思ってたんです」

ほら、俺って見た目ごついし獣人でしょ?とハルトはフォークを咥える

「中々同じ寮のヤツらには聞き辛いし…一人で食べに行くのも気が引けるというか…」

「あー、わかる」

ケイトは大きな体を縮こませ狭そうに椅子に納まっているハルトを見て笑う

見た目のイメージだけで言うなら、生の肉をバリバリ骨ごと食べてそうなのに、彼は甘い物が好きらしい

「本当は可愛いものとか好きなんですけどね」

「それで、俺に着いてきて欲しかったのね。納得ー」

「すみません、まさかケイト先輩が甘い物が苦手とは知らなくって」

「いやいや、いいのいいの!映える写真が撮れるのは好きだし、ハルト君と話すの楽しいし」

ケイトはスイーツの写真を撮らせてもらい、マジカメに投稿しつつ笑う

「それで、その…」

「わかってるってー。けーくんが、無理やり連れてきたことにしてあげるから。それで、ハルト君はー」

「ケイト先輩が甘い物が苦手なことは秘密、ですね」

「うん!いい子いい子!」

ケイトは手を伸ばしてハルトを撫でる

大きな体のわりに人懐っこいというか、目を細めて尻尾を振る姿は大型犬のようだ

いくつかスイーツを平らげて、口の周りを舐めながらハルトは幸せそうに笑う

「ケイト先輩、何も食べてないし、腹減りません?今度は俺がなんか付き合いますし、奢りますよ」

ハルトの写真を撮りつつ、ケイトは少し考える

「んー、じゃあ…」



「ケイト先輩、ラーメン好きなんっすね」

「これも秘密ね」

「もちろんです!」

ケイトがズルズルと美味しそうに麺を啜る姿を見つめ、ハルトは目を細める

「俺ら、ちょっと似てますね。ケイト先輩に声掛けてよかった」

「俺も声かけられてよかったよー。最初は殴られんのかと思ったけど」

「ははっ、縄張り荒らされでもしなきゃ手は出しませんよ」

「縄張りに入ると殴られるんだねー?!」

ケイト先輩には何もしませんよと、ハルトはケラケラ笑う

ケイトはその笑顔をしばらく眺めて

「ハルト君、こっちむいてー」

と声をかけ、ツーショット写真を撮る

「またけー君がスイーツのお店誘うから、ハルト君はラーメン屋とか誘ってね」

「はい、喜んで!!」

「いい子いい子。じゃあマジカメあげちゃおー。#後輩とラーメン屋 #たまにはラーメンもいいね! #次もよろしく」

「あ、更新したならイイネしないと!」

「連絡先交換しよー」

2人は連絡を交換し、互いに顔を見合わせて笑う

「次はどうしようか」

「俺、流行りの動物カップケーキの店行きたいです。可愛いし映ますよ!」

「いいねぇ!」

カップルのようにひとつのスマホを覗き込んで笑って、ケイトはハルトの頭を撫でた



☆☆☆
トレイ「お?ケイトがラーメン屋にいるなんて珍しいな」

ケイト「可愛い後輩ちゃんから頼まれちゃってー」

ハルト「こんにちは。ひとりじゃ入りにくくって、先輩に付き合ってもらったんです!」



ラギー「あれ?ハルト君、ドーナツ屋さんにいるなんて以外っス」

ハルト「こんにちは、ラギー先輩」

ケイト「俺に付き合ってもらったんだー!ハルト君、とっても力持ちだから、荷物持ち助かるんだー」


[ 313/554 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -