愛を描(えが)く

「全く君は手の焼ける…ほら、動かないで」

「すみません、寮長…」

ハーツラビュル寮の談話室で、2人は向き合って腰掛けている

ハルトはリドルに顎を持ち上げられ、されるがまま大人しくしている

真剣な眼差しでリドルが筆を動かしていく度、ハルトは擽ったいのか少し身動ぎする

「じっとする!」

「はい…」

「なんだハルト、今日も上手く出来なかったのか?」

通りかかったトレイがそう声をかけると、ハルトは何か言いかけたが

「動かない。」

とリドルに釘を刺され我慢する。

トレイはいつもの様子にクスクス笑い、また後でなと先に談話室から出て行った

ハルトはメイクが苦手なのだ

何とか時間をかけて努力してみてはいるものの、メイクを見たエースは

「なんだよソレ!ダッセー!」

と笑ったし、デュースは言いにくそうに

「血飛沫でも浴びたのか?」

と尋ねてくる始末だ

「ほら、終わったよ」

満足そうにリドルは笑って、鏡を見せてくれる

ハルトの頬には、美しい赤い薔薇が咲いている

「ありがとうございます…いつもすみません、寮長」

「あんなメイクで他寮の前に出られたら、寮長の僕の恥だからね」

リドルが呆れたようにそう言うと、ハルトは

「申し訳ないです…」

と眉を下げる

「責めてはいないよ。可愛い後輩が困っているなら助けるのも寮長の僕の務めだ」

リドルは笑ってハルトのメイクした頬をそっと撫でる

「擽ったいですよ、リドル寮長」

「ふふふ、すまない。」

口ではそう言いつつ、リドルはメイクをなぞる様に指を動かすのをやめない

「リドル寮長?」

「ハルト、明日もこの時間にここに来るんだよ?」

「明日も頼んでもいいんですか?」

ハルトがそう訪ねると、リドルは頬から手を離して軽く胸をはる

「ハルト、返事は大きく口を開けて「はい、寮長」だ。」

「はい、寮長」

くすくす笑ってハルトがそう言うと、リドルはハルトの頭をポンポンと撫で

「よく出来ました」

と笑った。

「ところで、ハルト」

「なんですか?」

「赤い薔薇の花言葉をご存知かい?」

「へ?」



☆☆☆
ケイト「リドル君、結構マジだよね」

トレイ「ハルトはいつ頃、気が付くだろうな?」

[ 290/554 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -