ハートのエースは恋しない

監督生は鏡を見て唸る

「ストレスか…食生活か…」

「子分〜そろそろ出ないと遅れるんだぞ」

「はいはい、今行くよー」

グリムに急かされ、監督生は鏡の前から離れた



「よぉ監督生、おはよー」

「おはよ、エース」

「あれ?グリムは?」

「デュースと何か約束してたみたいで、先に行っちゃった」

「ふーん。俺らも行くか」

グレートセブンの石像の前で待っていたエースと合流し、雑談をしながら歩き出す

「監督生、お前髪型変えたんだな」

「ん、まぁね」

監督生は少し言葉を濁し目をそらす。エースはしばらく監督生をマジマジと見つめ

「似合わねー」

とゲラゲラ笑った

「なっ、」

「顔見えなくて根暗に見えるぞそれ。なんで前髪下ろしたのよ?」

エースに指摘され、監督生は前髪を少し摘んで口を尖らせる

「そんな変?」

「変だね」

即答され、監督生は肩を落とす。

「実はさー、ニキビがね、出来ちゃって」

「にきび?」

んなもん気にしてんのかよ。と笑われ、監督生は今度はムッとした

「エースには関係ない事だけどね!」

「………。」

エースは少し黙った。監督生が思ったより落ち込んだらしい様子を見て、しばし何かを考える

「監督生」

「なに?」

「ちょっとこっち向け」

足を止め、正面に向き合う。そして、監督生の前髪に触れた

「な、なに?」

「動くなよ」

エースは器用に監督生の髪を編んでいく。そしてポケットから髪留めを取り出し、パチンととめた

「…ほら、出来た。」

「え、でも」

おでこ全部でちゃってるんだけど、と気にする監督生だが

「こんくらいのニキビなんて気になんねーよ、さっきのだせー前髪よりマシだし。こっちのが可愛いぜ」

とエースはニヤリと笑う。監督生は少し頬を赤らめて口元を手で隠す

「ほんと?」

「おう…」

監督生は間近にあるエースの顔に赤い頬のままはにかんだ

「ありがと…」

「あとな、仕上げするから目を閉じて」

「え?」

戸惑う監督生の頬を両手で包み、目を閉じろってと笑う

監督生が目を閉じると、エースは無防備な唇をじーっと見つめる

そして

ちゅっと監督生の額にキスをした

「エース?!」

「髪留め、外したら罰金だからな」

エースは笑って、監督生の先を歩き出す

後ろから見える耳が少し赤くなっていた

「待ってよエース!」

監督生は小走りでエースの隣に並び、ネクタイを掴むと頬に口付けた



☆☆☆
「あ、リドル先輩、おはようございます」

「おはよう。おや、今日は随分と可愛い髪型をしているね」

「えへへ、エースがやってくれたんです」

「なるほどね。…薔薇とハートの髪飾りとは、中々やるじゃないか」

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