王様のお戯れ

「監督生くん、大丈夫スかねぇ?」

ラギーは、誰に言うでもなく呟きながら寮内を歩く

サバナクローの寮内に、自分以外の人影はない

それはそのはず、今は一般の生徒たちは授業を受けて教室内にいるはずなのだから

ラギーはサボりの常習犯を探しに来たのだ

いつもなら居るはずの植物園に探し人の姿がなかった時点で、なんとなく目的の人物がどこで何をしているのか察していた

「最近のレオナさん、監督生くんにお熱っスからねぇ…」



「レオナさーん、入るっスよー」

寮長室のドアを開けると、ラギーの予想通りの光景が…

「うわ。思ったよりひでぇ…」

予想を超えた光景が目に入った

ベッドにて行為に及んでいる背中と、その下でぐったりしている人物を見つけ、えげつねぇと思わず零す

性行為をしているだろうと察してはいたが、ここまで激しい様子は流石に考えたくなかったと、ラギーは頭を抱える

監督生にお熱だとは思っていたが、どうやらラギーが感じていたよりもずっとずっと執着しているらしい

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「……ぁ……ぅ……」

「レオナさん、そろそろ止めないと死んじゃうスよ、その子」

「…チッ」

乱入者が現れても躊躇いなく腰を打付けていた獅子だが、自身の下にいる人物の様子に気がついてようやく動きを止めた

「だらしのねぇ草食動物だ」

草食動物と呼ばれたその子は、意識朦朧としてただ荒い呼吸を繰り返している。

随分と長い時間相手をさせられていたようで、目は涙で潤みどこを見ているのかもわからない。

首元や太もも辺りには、いくつも歯型が付けられ薄らと血が滲んでいる

「いやいや、その子は普通の人間なんスから…ライオンの性欲に敵うわけねぇでしょ。」

ドン引きしているラギーに舌打ちし、レオナは覆いかぶさった状態から身体を起こす

それを引き抜くと、監督生は小さくビクッと身体を跳ねさせた。白濁の液体が、ゆっくりと体内から流れだす

「すげぇ量…いつからやってたんスか」

「あー。」

図書室でお前と別れたあとからだな。と自身が吐き出した欲の量を見ながら、頭を掻く

「昼からずっとっスか?!またなんでそんな無茶を…」

「あぁ?コイツに聞けよ」

レオナは何か思い出したのか、苛立ち混じりに髪を掻き混ぜてから監督生を抱える

抱えられた刺激で多少覚醒したのか、薄らと目を開けて

「…レオナ、さん」

と、小さくうわ言のように名を呼んだ

「どうした?」

「レオナさん…ごめんなさい…」

「お前が異世界に纏わる本なんて探してたのが悪いんだよ」

グルルルと唸るレオナの顔を見て、監督生はポロポロと涙を零し始める

「レオナさん、ごめんなさい…置いてかないで下さい…」

「これに懲りたら、二度と俺の前で異世界の話しなんてしねぇ事だな。ほら、行くぞ」

ぐったりとしたままの監督生を落ちていたブランケットで包み、涙を舐めとって立ち上がる。

愛おしそうに額を合わせ、ふっと微笑むと部屋の外へと歩き出した

その背中を呆然と見つめることしばし、ふと我に返ったラギーは

「ってレオナさん!どこ行くんスか?!」

と声を荒らげる

「あぁ?コイツの後始末だろーが」

お前はシーツ洗っとけ。と言い残し、浴場へと振り返ることも無く行ってしまった

「へいへい…」

性行為あとの独特の匂いの中、ラギーは大きなため息を吐く。レオナがやれと言ったことは、この寮では絶対なのだ

ベッドからシーツを剥がしつつ、監督生を抱えるレオナの表情を思い出して呟く

「しっかし、あの人も、あんな優しい顔するんスね…」

ライオンは、捉えた獲物を逃がす気は無いらしい。何があっても、決して、決して逃がさない




☆☆☆
見たくないものを見せつけられても、一切動じないラギーくん強い

解説しとくと、今回登場した監督生は「ここに急に連れてこられたように、元の世界に急に帰ったらどうしよう」と考えており、実はとっくの前にレオナさんに落ちてて「帰らない方法」を探していたのでした。

だけど「まだ帰りてぇのかよ…」とブチ切れ勘違いしたライオンに美味しく食べられましたとさ

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