ディオスコロイ計画 小説 | ナノ
肆
担任はそんな私たちの思いに気付く事なく、他の子ども達と話す私たちを見て安心し、教室から出ていった。
それを見計らい、私たちもこっそりと教室から出ていく。これ以上他と交わることは我慢ならないからだ。
私たちは手をつなぎ、廊下を歩く。階段を上がり、屋上へと続く扉へと至る。
屋上への扉には鍵がかかっているため、普通なら入ることは出来ない場所だ。
しかし、私たちにはそれが出来るのだ。
ポケットから出したヘアピンを使い、扉の鍵を器用にあけた。
学校に入ったばかりの頃、双りきりになれる場所を探しているうちに此処へと辿り着いたのだ。
初めこそはヘアピンで開けるなんて技は出来なかった。
しかし、どうしても双りきりになりたくて、インターネットで調べてその技術を習得、そしてついに誰にも邪魔されない場所を手に入れたのだ。
入った扉を閉め、屋上側から鍵をかける。
屋上には当たり前だが誰もいない。
私たちだけ。
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