ディオスコロイ計画 小説 | ナノ
弐
初めに私たちの異質さに気付いたのは、母親だった。
あまりにも一緒にいる私たちを訝しみ、そして親として心配した。
同世代の子ども達がたくさんの友達と交流し様々なコミュニティを創っているのにも拘らず、私たちはいつまでも双りきりでいたからだ。
私たちは、異物の混入を厭った。
どうして双りだけでありたい世界に、見知らぬ他人を入れなくてはいけないのか。
私たち自身が幸せであるためならば、他を排除する事は決して悪い事ではないはずだ。
誰もが自分の幸せのために、其れを妨げるものに対して拒絶を繰り返しているのだから。
わざわざ、不幸になるために新たな友達と呼ばれる他人を得ることは、私たちにとって無価値なものでしかなかった。
だか、それを母親はどうしても理解できずにいた。
他の子どもと私たちを比べては一人、悩み続けた。
父親は放任主義だったために、悩み続ける母親に対して何の手も差し伸べることはなく。
私たちに対してと同じように、母親に対してもそうあり続けた。
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