ディオスコロイ計画 小説 | ナノ
参
双子は元気に、無事予定どおり生まれてきた。
しかし、それを願っていたのはお腹の中にいる間のみ。
何故ならば、双子の弟こそ類い稀なる白銀の美しくも柔かな翼を持っていたのに対し、兄の方は漆黒の、まるで蝙のような翼を有していたのだから。
当主は激怒し、すぐさまその双子の兄を離れの塔に隔離し、忌子としてぞんざいな扱いをした。
本館とは森を挟んで建てられた、決して外界からは見えない隠れた塔。
いや、秘したいものを閉じ込めるために建てられた隠された塔、というべきかもしれない。
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