うたかた
Because there was that pain, there am me now.
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寂しいと近づいた果てに
虚しさを感じ
より良くあれと願えば
偽りに耐えられず
些細な言葉の裏を
滲む心の内を
掴むことこそ美徳であると
刻み込まれた意識があるのだ
気付かねば流れた慰めすら
波立てる風となる
空にしなければと努め
さらに柔らかくと強いる
いざ行けば何も残らず
ただ線のみ岸を隔てる
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未だ仄暗く
此の道は見えない
明け方になれば日が射すと
希望のような 縋るような
鮮明な色を持たずに遷ろう
あの言葉を受け入れるなら
時を重ねなければ
此の想いをはねのけるなら
決意を抱かねば
未だ足元暗く
此の傷は癒えない
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其の顏 輝きて
ゆるり 緩ませ
我が手を掴む
宛ら雪の溶け行くように
心を解きて手と手を繋ぐ
吾が子を抱く其の姿は空
吾が子を巡るその者は花
叫べと謳う 其れを望みて
過去の過ちでさえ忘れ行く
子の為なれと信じ疑わず
腕の躯 香り漂う
泣きさえすればと 我は泣き
心失えと 我は請う
眼に写るは 世界か裏か
腕に抱くは 子か影か
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其れは天に立つ証
其れは勝者の得る意識
天秤の傾きに焦りを持ちながら
天秤こそが宝である事を失念する
其の傾きの結果にばかり魅せられて
本質を理解する事を失念する
新たな敵を作りながらも
其れは影のみ
自身が持つ輝きを知って
消さぬように奪わぬように
育むことを
護ることを
求められている姿勢と声は
いつかの夢のようで
振り返れば全ては足元にある
求めていた希望と花は
其れを得た今となっては
全ては自分次第なのだと知る
掌に在れば矮小に見えど
確かに掴みし奇跡は
唯一の誇りとなる
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悲しいと震える喉を堪え
寂しいと擦れる咽を閉じる
声は現実を叶えよう
なればこそ此の想いは
嘘であると自ら偽り
他よりの信頼と期待を負い
この面に笑みを張り付ける
笑みが求められていると知りて
笑みが人を助けると解して
自らを殺し他人を救うのだ
いつか壊れてしまうその日まで
誰がために
自らを狂わし惑わし裏切りつつ
其の声を発していく
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