第三話 ボブ、救命

季節は春。
ボブが日本に留学して三週間目のこと。

ボブには大切なペットがいた。
白いトイプードルで、名前はペム。
モコモコしていて、耳の付け根に赤いリボンをしているオス犬だ。
このペムを、ボブは目に入れても痛くないほど可愛いがっていた。

ペムを拾ったのはついこの前のこと。
寒い雨の中、その白い犬は一匹ダンボールの中震えていた。
ダンボールには『Have me』(私を飼って)の文字。
ボブは傘をさすのも忘れ、その白い犬を抱え、ただ涙を流して家まで走った。

「ナトリウム氏、なんでござるかその白いモコモコは?」

家に帰ると鈴木さん‐ボブのホームステイ先のホストファミリーだ‐が待っていた。
ボブは、泣きながらさっきのことを話した。

反対されるのはわかっている。
でも、かわいそうだ!
僕にはもうこれ以上この小さな命を土砂降りの雨の中一人ぼっちにしておくことはできない!

ボブは必死に訴えた。
すると鈴木さんは、

「ナトリウム氏。よくやったでござる。お主は命を救った英雄でござるよ…!!」

鈴木さんも泣いていた。
その後、2人で白い犬を暖炉の火で温め、ミルクをたっぷりと飲ませた。
仔犬は気持ちよくなって寝てしまった。

「名前は、どうするでござるか?」

その質問の答えはボブの中ではとっくにでていた。
ボブは鈴木さんの目をしっかりと見つめ、こういった。



「ナトリウム氏ー!ペムの散歩の時間でござるよー!」

小さな白い犬の名は、ペムに決まった。
さあペム、今日も楽しい散歩の時間がやってきたよ!

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