第四話 ボブ、散歩

ボブは無言で道を歩いていた。
足元には白いモフモフ、ペムがこちらに目線を寄越しながらさほど長くないしっぽを振って歩いている。
彼らは時折目を合わせ、お互いの存在を確認し合い、ただ歩いていた。
するとボブが、特に何もないところでこけた。
きょろきょろと辺りを見回して誰もいないことを確認するとほっとしたように息をついた。心配そうにこちらをみているペムに大丈夫だと一回頷いて、彼らはまた歩きだす。
すると今度はペムが、特に何もないところでずしゃ、とこけた。
白いモフモフが土で黒く汚れる。ボブはペムを抱き上げると、ぱんぱんとついた土を払ってやる。
ボブが大丈夫か?とペムを撫でてやると元気に答えるペム。
彼らはまた何も言わずに歩きだした。

近くに見えてきたわが家に、慣れた様子で足を運ぶ。
しかしボブは門をくぐったところである異変に気がついた。
足元に落ちている一つの籠。どこかで見たことがあると拾い上げて首を捻った。

"じぇにふぁー"

裏をみると綺麗な字でそう書いてあった。そうだ、これはいつもジェニファーが収穫のときに使っている籠だ。
ボブが気付くと玄関のほうでペムが彼を呼んでいた。早く早くと急かしているようでもある。
籠を手にボブが顔をあげると、玄関の前でジェニファーが真っ赤に染まって倒れていた。

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