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某方が某方に脱がされかける描写があります。下ネタに近いですが苦手な方はお逃げください


今年の決算に目を通していた鳳珠は、ある一点で目を留めた。それは、極々普通に見ていれば気付かないほどの違和感。しかし長年の戸部尚書の勘が、何かがおかしいことを告げていた。


「……税徴収で過払い者がいたか、それともただ単にどこかの黒字を二重に数えたか」


何故か収入から支出引いた分の国家決算が、今回の黒字の金額と数字あっていないのだ。そう、増えている。
収入の内訳に何処がおかしいか。鳳珠は資料引っ張り出して調べ始めた。


しばらくたち、収入支出の計算は間違っておらず、しかし何故か何処かで金額増えていることがわかった。それが何処か分からない


「…………」


鳳珠は過去の決算控えを持ち出し、見比べ始めた。
項目を見比べていたところでそれは見つかる。


「工部への例年の寄付か。今年は記入漏れなだけのようだな」


公共事業携わる工部へ、毎年事業費として同額を寄付し続けている律儀な者がいるようなのだ。計算合わない額も、丁度その額の分であった。持ち出した資料を仕舞おうとしたところで手を止める。目に入ったのはまだ自分が戸部尚書ではなく、前任者のあてにならない決算報告だったが


「…寄付ではなく分割払い額となっている……?」


きっちり今と変わらず同じ額が工部に入っている。しかし分割払いというのはつまり、国が何かを立て替えて払った分を返しているというわけで。


「……一体誰が、どうしてそんなことになった」


国庫は誰かの財布がわりではないのだ。今までの分割払いや寄付という名目の額は年数重ねているだけにかなりの額、それが過去に消えたというのか?


「律儀に返しているあたりが普通じゃない。まぁ無くなるよりはいいが…」


何に使ったと言うのだろう。だいたい、それだけの額動けば嫌でも表に知れる。先王の時代からこの分割払いとやらはされているが、そんなときにそんな真似した者をあの先王が見逃すわけがない。


必ず表の痕跡があるはずと鳳珠は過去の決算報告を遡りはじめた。
そして見つけたのは――


「これか」


資料手に取り鳳珠は目を細めた。
『王の客人』の来訪、そして客人邸の建設。その翌年から分割払いとやらは始まっていた。見逃すも何も、指示したのが先王自身だったのだ


「……邸は与えたんじゃなかったのか」


確かに先王が「造らせた」とは記述あったが、こんな裏事情知りたくなかった。いや、それよりも重要なのは――失踪したといわれる王の客人が、今現在も存在している、そのこと。


……これ以上深いところまで事情調べる道理は自分にはないだろう。それは現王、紫劉輝や彼の双花がすることだ。


鳳珠は取り敢えずそのことについての報告書まとめることを決めた。

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