その問いに悠舜はにこりとして言う
「櫂兎、貴方は縹家の人間ですか?」
問われた言葉の真意が分からない
「え……それが質問?」
「そうですよ。で、答えは?」
「縹家なわけないない、もしかしてこの前のまじないどうこうでそう思ったのかもしんないけど、俺のは縹家とは違うよ」
「………そう、ですか。
まあ縹家の存在を知り、一応の知識くらいは持ってそうですねえ。一般人ではないことくらいしか分かりませんでしたが……そうですか…」
はあ、と悠舜は溜息をついた。え、俺のせい?
「ま、何か考えるのもバカらしくなってきました。櫂兎は櫂兎ですもんね」
どうやら俺の素性は悠舜の頭痛の種のひとつだったらしい。俺だって悩んでてもわからない類のものだ、あきらめた方がいい。
だいたい何と説明しろと…?
異世界人です、キラッ☆なんて言った暁には縁切られ友情破綻のこと間違いない。
「あ、俺一般人だから。そこんとこはたぶん間違ってない」
「それ、絶対思いっきり間違ってますよ」
冬の木枯らしがつめたく通り抜けた
棟を悠舜と二人で見上げ、言う
「……なんか、お札増えてるね」
所狭しと張られたお札で入ってきた時より不気味さが増している
「黎深をおさめようと、みな藁にもすがる思いなんですよ」
悪霊退散だけでなく無病息災、安産祈願まで貼ってある。なんとも禍々しいものを封印している祠のようだ。悪の根源は今日も災厄をまき散らすためふらりとどこかへ行ってしまったが
鳳珠は偉大だ、毎日飽きもせずに自分のための勉強、勉強、勉強。
悠舜は意外と息抜きこまめにとっては、俺との会話してくれる。
俺はというと州試のときやった内容の復習になるので(国試の勉強も邵可に叩き込まれていた)、今一つ身が入らず筆をとては置き、とってはおきの繰り返しだ。
うーん、我ながらたるんどる
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bkm