目が覚める。あれからどれくらいたったかわからない
トロッコは動くのをやめていた。水の気配はない。どうやらここがトロッコ終点らしい。が、先は暗い。燭台と少しの食料、水を持って先へ進む。しばらくすると上りの階段が見えた。
くらりとする。今までトロッコでおりてきた分を、地上まで上れと。
だがしかしのぼらないわけにもいかない。ひたすらのぼるしかあるまい。地上に出れば、何かしようがあるのだ。
終わりの見えない階段に、心身ともに疲れ果て、蝋燭も勿体無いので火を消してしまい真っ暗な階段をひたすら、ひたすら上る
足が重い。階段は上下運動だから、エネルギーも消費量多いんだよなあなどとどこかずれたことを考えつつ、のぼる。のぼる。のぼる。
甘露茶を茶州においてきただとかいろんなことを考えながら。最終的に俺どうしてこんなことしてるんだろう、なんて考えに至った途端にバランスを崩し前のめりに転ぶ。燭台がカランと転がるのを必死に受け止めた。
ふと、違和感を感じ前を弄る。
何も、ない。
何も。
階段も、ない。
ぺしぺし
おお。
床があった。
「平面んんんん!!!!」
なんとも変な叫びをあげ、俺は階段の最後の段を駆け上がる。そして蝋燭に火を灯し、駆け足で床を蹴った。
元気だったのもつかの間。どこまでも続く床。地上の光がほしい。
しかし。ふと、どこかで似たような体験をした気がした。
どこまでも続いていそうな道が続く……そう、あれは。
それが頭に思い出された瞬間俺は前のものに思いっきりぶつかった。
「……ってて……」
燭台で照らせば、藁。
いや、これは。
「米俵………」
つまりここは。これらは。
「俺んちの地下か」
帰ってきたのに、嬉しさより気が遠くなるほうが強いなんて。
とにかくふらりと米俵を横に進めば見慣れた場所、道、そして最後の上りとなる梯子。
梯子をよじ登り、やっぱり自分の部屋で、邸をでて正面からみてもやっぱり自分の邸で。
頭が真っ白になった。
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bkm