「わ、龍蓮、どうしたんだ」
龍蓮は肩に積もる雪も気にせずただ泣きそうな顔で立ち尽くしていた。身体が冷えてしまっている。急いで室内に引き入れようと手を引くが、龍蓮はその場を動かない。
「龍蓮?」
「……我が心の友が……。私は…っ」
「……」
「あの忠告を、あのとききいていたらっ…」
きっとそれは、櫂兎がいつかに言った、友人が嫌がることはしない方がいいという言葉。でも、すべてはもう過ぎたことだ。
「何とかできないか、調べるつもりだ」
きっとどうにもならないことは知っている。それでも探さずにはいられない。もしかしたら、とその少しの希望に縋って。
「…仙は気紛れ、二度ある事は三度ある。それがどんな結果を生むかはまだ分からないけれど」
櫂兎は龍蓮の肩に積もる雪を落とし、自分が羽織っていた布を龍蓮に肩掛けた。
「いってらっしゃい」
その全てを見届けるために。
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空中三回転半宙返り土下座
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