「劉輝様ー!」
「華蓮!!」
ぱあと瞳を輝かせ、こちらをみる姿は非常に微笑ましい。
「お昼を邵可に誘われ、一緒に府庫で食べたのだ!!」
「そう、良かったですわね。私はまだ食べておりませんの」
「なっ、なら今食べるとよいのだ! 食べ終わるのをちゃんと待ってるのだー」
「ありがとうございます」
今日のお昼は衝動的に作った食パンたちのあまりを使ったサンドイッチもどきである。
「…華蓮の飯は珍しいのだ〜! なんなのだ?」
「食べてみます? サンドイッチっていうんです。美味しいですよ」
卵マヨを渡すと頬張る劉輝
「…食べたことない味だが、すっごく美味しいのだ! これも華蓮が作ったのか? 料理上手なのだな!」
「そう言ってもらえると嬉しいですわ」
それでですね、と今日の要件を口にする
「私、暫くこちらへは来られなくなりましたの」
申し訳ありません、と言えばプルプルと捨てられた子犬の目でこちらをみてくる。
「ほら、もうすぐ今年の州試の始まる時期でしょう? 茶州の方で親戚が受けるらしくてそちらの世話を頼まれましたの…」
実際のところ殲華に「お前国試受けろ」と言われ、容体がだんだん悪くなる殲華が心配な俺が嫌だと言い張れば羽羽の延命措置受けないなどと馬鹿申しやがるので、渋々、受けることにしたのだ。といっても州試が受からなければ何にもならないので、鴛洵にきいてみれば茶州で受けられる手続きをしてくれるという。ありがたくそれを受け、茶州に向かうことにしたのだ
筆頭女官が後宮を開けるなんて、むしろ辞めるべきじゃないかなんて、ぼそりと後宮の女官に言えば、必死の形相で残っていてくださいと珠翠その他もろもろの女官方に言われ、戻ってくるまで俺の仕事は分担して代わりにやるなどと皆が言うものだから。
お言葉に甘え全部押し付けて(その書類の量にみなぎょっとしていた)、愛されてるなあ、俺。なんて思いながら荷物をまとめてきたのだ。
「また戻ってきますわ。それまでおひとりにさせてしまうこと、赦してくださいまし」
「…わかった。
余には邵可も宋将軍もいるのだ、さみしくないのだ」
さみしそうなのは明らかだが、強がり言う劉輝が愛しくてぎゅうっと抱きしめた。
そして劉輝とは別れ、今月のお茶会に向かうのだった。
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bkm