試されて試されて 11
「初めて見かけた場所は、その、外朝だったが…誰かとの逢瀬だろうか?」


瑤旋と?逢瀬?


想像して鳥肌がたちプルプルと震え首を振る


「ただの友人に愚痴を言っていただけですわ」


「そう、か!そうか! それでは、第六公子と共にいたのは、何故か?」


「世話役を、させて頂いておりますの」


「……確か、貴女は筆頭ではなかったか。第六公子の世話をするような身ではなかろう」


「王から打診がございましたの。その頃は、まだこの役にも就いておりませんでしたわ」


王、の言葉に旺季は少し雰囲気を変えた。なんだか、鋭さが増したとでもいうか、瞳の奥の炎が揺れたとでもいうか。そんな感じだ。

彼のその真剣な目は、真っ直ぐにこちらを射抜き貫くようで、身動きがとれない。

やがて彼は、口を開いた。


「華蓮殿…私の嫁にこないか」



「………………全力で遠慮しますわ」


…ものっすごく落ち込まれた。


「許嫁か、それとも気になる相手がいるのか?」


「おりませんが、お断りですわ」


さらにしゅんとする旺季。これじゃ、まるでこっちが悪いことしているみたいじゃないか!


「あの王の妃にと貴女が考えているのならば、貴女のためにも、させられない。不幸になるだけだ。私の妻という立場になれば、守ることができる」


「あの、ええと。考えておりませんから、ご心配は要りませんわ。彼とは、そのような間柄ではございませんもの。
私達こそ、まだ見知った仲ではありませんし、第一、その、貴方は、ご婚姻なされていませんでしたかしら…」


「妻は…死んだ、娘も1人、嫁に出て家にはいない」


「……あの、無遠慮に口を利いて申し訳ございません」


「いい、気にするな。若い者に後添を頼むなど、そちらはそちらで貴女によくない噂が立ちかねんしな。
……一目惚れ、だったのだろう。自分でもまだよく分からないが、華蓮殿が好きだ、愛している」


男から告白され不快指数度100の俺は泣きそうになりながらも、まだ男とばれてはまずいので必死に取り繕う。


「お友達でいましょう」


きっぱり言う俺にかなしそうな目をする旺季。この人もこんな顔するのか。


「で、では…お互い、よく知らないことですし、お茶飲み友達から始めましょう?」


最終的に行き着くとしてもお茶菓子食い友達程度でありたいな、うん



「…………ああ」


妙に間があったあと、旺季がこたえた。


そうして旺季とは何ヶ月かに一度、一緒にお茶をするだけという奇妙な関係が、こうしてずっと、これから続くことになる。


必要以上にお互い近づくことはなく、彼から触れてくることも、あの一度きりだった

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空中三回転半宙返り土下座
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