「次の筆頭女官は…後宮入りしてまだひと月もたたぬ娘か。なかなか見所がありそうじゃ」
「その腕前、期待してよろしいかと」
目の前で好き勝手言われているが、これ、俺、一言も筆頭女官やるとは言ってねえのにこんな状況なんだぜ?
しかしまあ拝礼をおざなりには出来ないので丁寧にすれば周りからほう、という感嘆の声が聞こえる。
「華蓮で御座います」
――と、重々しく現筆頭女官さんが口をひらく。
「華蓮よ、そなたに後宮を任せる」
それはあまりにも重すぎる言葉で
「つつしんでお受けいたします」
取り敢えず、精一杯やってみようと思った。
まぁ後宮の管理といっても、王が後宮に入り浸るわけでもなく、常春頭の坊ちゃんもいないので比較的平和かつ平穏な後宮であった。
それからしばらくして、珠翠も後宮入りし、仕事は俺が直に教えた。さすがは珠翠で覚えが早く、次の筆頭女官の噂が立つのも早かった。まあまだ俺の引退の兆しが見えないので、期待できるね程度の噂としてだが。
そして、俺にその話はきた。
「末の第六公子の世話役として付かないか」
王は、一応今虐められっぱなしの劉輝を気にしてくれているらしい。
後宮にこもりっぱなしの自分は喜ぶところだったが、筆頭女官としての仕事が結構な量あったので筆頭女官を辞めようとした。すると女官達から猛反対をくらったので王に相談すれば、仕事の合間に相手する程度でいいらしい。本当にそれでいいのか父親。
まあちっこい劉輝に会えるのだから頻繁にいくことになるだろうし、いいかな
そうしていると劉輝に初めて会う日は、奇しくも清苑と劉輝が知り合った次の日になったのだった。
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