魁斗と北斗が飛びすさる。いや、だから俺は忍者じゃねーの!と掠める飛び道具の軌道をかわす
流石未来の超美人、珠翠の腕前
完全によけきれなかった分、きられた髪がぱらりと床に落ちた。
乾坤圏、だっけな
魁斗と北斗がいた場所を浚った二つはやがてくるくると空中で主の許へと戻る
その主をみて魁斗と北斗は呆気にとられた
「……確かに二十年後は間違いなく美少女……でも今は幼児やんけ!!」
俺はもちろん知っていたので、驚きは少ないのだが
それよりもちっちゃい珠翠の可愛さに頭撫でて抱きしめたい衝動が押し寄せ震えが止まらなかった。なあにあの可愛い生き物は!持っている物は物騒だが、大きすぎる暗器をたどたどしく持っている感じがたまらん!
まあ妹の可愛さには負けるので耐えられないことはないが
「……あなたタチは、姫様を、ここからツレダシにきたのですか」
「俺はそうだよ。」
「櫂兎?!」
驚く魁斗ややっぱりなと目を細める北斗に言う
「俺は『ついて行ってこい』って言われただけだから好きにしたっていいだろ。」
ツンと言う俺に魁斗が何か言おうとする前に珠翠が口を開いた
「そこのおフタリは、どう、なのですか」
それにすかさず北斗が言う
「俺たちもだ、三人で姫様を助けにきたんだぜ。通してくれるよな、嬢ちゃん」
「北斗までなに言って!」
「バカ。こいつだって『連れ出す』とはいっても俺たちの邪魔するとは言ってねえし、あんな幼女まともに相手にするより『姫様助けにきました〜』って騙して、まんまと入り込んでこいつが連れ出す前に『姫様』をぐさってやるに決まってるだろ。俺たち兇手だ・ろ!?」
「……あ、そう……なんか……今日初めて兇手っぽいこといったね……」
「ていうか…俺にも聞こえてるんだけど…」
ジト目で北斗をみればあははと返された。
珠翠もキッと北斗を睨みつける
「アナタ、ダマして『姫様』をぐさってやる、って、おっしゃいましたね。ウソツキです」
「……すみません」
北斗の生まれて初めての素直な陳謝の後、珠翠は魁斗と俺を見上げ、『それ』を紡いだ。
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bkm