「生存確認できないまま一月たったときは手元を離れさせなければよかったと思った。」
「え、何それ…」
「一月ほど、屋敷から出入りしなかったろう、影が不審におもい屋敷を探索したのに中は無人、煙のように消えたと騒がれたんだぞ」
「えーっと」
一月ほど、家にはいなかった時期…?
まさか、地下探検に食料一月分持って歩き回ったときだろうか?!
一応家にいたんだけどな!?
地下探検も結局半月歩き続けて横穴大量、大通りみたいな通路には終わりがみえなかったので残り半月戻ってくるのに必死だったんだよなあ
しみじみ思い出していると、殲華にいきなり手を握られた
「なっ、何を…」
「…無事で、よかった。」
至極真剣な顔をしていうものだから、本当に心配してくれていたのだと、申し訳ないような嬉しいような気持ちになった。
「そういえば櫂兎、いつぞやに黒狼と会ったろう?」
「そうだねー」
魁斗に冷たくされたのは記憶に新しい。
「あいつが今度いく任務にお前もついていけ。丁度先程たったところだしな」
「………は?」
言葉の意味が理解したくなくてききかえす。頼む、ウェルニッケ野の異常だろう?
聞き間違い、だよな?
「黒狼と薔薇姫暗殺行ってこい」
綺麗な笑顔でばっさり言われた。
凄みもあるところ、さすが覇王といわれるだけはある。
……じゃ、なくて!
「殲華さっき俺いなくてさみしかったって言ったじゃん!?」
「可愛い子には旅をさせよというやつだ、お前あまりにも呑気そうだし心配して損した気分になった。」
そんな拗ねた子供みたいな理由で俺は縹家に送り込まれるのか!?
「ちゃんと、戻ってきてくれるんだろう?」
にやりと笑う殲華。
嬉しいことを言ってくれる。
「そんなこと言われたら行くしかねえじゃねーの
ああでも、薔薇姫は死なねえよ。魁斗はお伽噺を本当にしてくれるから」
俺の最後の一言に、殲華はまた笑った
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bkm