「いーから、ほら、これ持て。そこの奴、開始の鐘ならしてくれ」
ほい、と投げられた剣
予想以上の重みに驚く
そりゃあまぁ、鋼の塊だもんな。そんなもの振り回すなんてよっぽど力いるし
そんなことを思っているうちに鐘がなり、試合が始まった。
試合にすらならなさそうだな、これは
俺が動かないでいるので隼凱が剣を振りかざす
それを剣で受け止め押し返す
重い、重いよ!
鋼の重みに相手の体重が乗せられるので、上手く重心をそらさないと身動きがとれず反撃できなくなる。
しばらく打ち合いが続き、あたりから感嘆の息が漏れる
いや、俺は超必死だからね!受け流すので精一杯だからね!!
「櫂兎からは打ってこねえのかぁ?」
「打ち方知らないんだよ!やたらめった振り回すわけにもいかねえだろ!!
あたれば切れるし!! 切れたら血が出て痛いし、いいことないし!」
本気で叫んでいれば隼凱が笑う
「切る練習するために振り回してんのに」
「俺は血みどろスプラッタは嫌いなの! 平和に暮らす一庶民に剣の腕求める方が困るっての!!」
すぷらった?と首を傾げる隼凱
そんな余裕があるのが羨ましい
だいたいフェンシングや剣道なんて小学生の頃少し習った程度、その後は体育の授業でやった程度なのだ
技なんて初歩的なものしかない。
剣でなければまだやりようがあるのに
あぁ、でも初歩的なのすら今使ってないしな
それに気付いて一度距離をとる
それに何をするのかと楽しみそうな隼凱
技、なあ。
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