「殲華と同類だと思われたせいだー! 魁斗に振られたー!」
「なら友をやめるか?」
「嫌だー! っていうか『友人やってる』わけじゃないのにやめるも何もできねえよ」
そう、それはもう自然に、当たり前みたいに、まるで何百年も前からそうであったみたいに。俺達は友達だった。
まるで、十数年かけて関係を築いてきたような。実際は、俺にとっても殲華にとっても、人生のうちのちょっとの間しか要さなかったのに、だ。
すごく変だが、そうだったのだ。
まるで地球が丸いように、殲華が何故か友達っぽかった。
俯いて無言だったら頭をがしがし撫でられた
「大丈夫、奴も最後口調崩れてたろ。お前と向き合った証拠だ。あれはじきに折れるな」
「折れるの!?」
「ああ、櫂兎がしつこいのに奴も気づけば折れる」
「俺ってしつこいの?!」
「違うのか?」
いや、そりゃ諦めは悪いと思う。頷かなければ頷くまでつきまとう気質ではある。
「いつか必ずそうなるなら早かれ遅かれ、ということだ。それに気づけばすぐだな」
それが薔薇姫のことを指しているようにさえ思えてドキッとした。いつかは縹家に『風の狼』…『黒狼』を送り込まなければならない、そうきこえるようで。
あまり気づきたくない場合もあるかもしれないなんて思った。
(ホトトギスもいつかは鳴かなければならないことを知っていて、それに知らないふりをしている。知らないふりをし続ければ、殺されることも知りながら)
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