待ち望まない争いと 23
トロッコ、いいよトロッコ
速いし快適、トロッコ

鼻歌を歌いながら俺は地下への階段をおりる



トロッコあれば馬に乗らずにすむなんて言ったら、馬術ちまちま教えてくれた泗紋さんに悲しまれるだろうから、馬にはまた今度乗ろう

藍州行きと思われる地下トロッコに、食糧と着替え類を持ち乗り込む。女物だが軽装にしたおかげで動きやすい。女官服では、あれはかなり動き回るの疲れるのだ


ライターで燭台に火を灯す。このライターも、だいぶオイルがなくなったものだ。ちなみに、別に俺が以前煙草吸ってた訳ではなく、ほんの気まぐれ、おまけで付いてた猫のにくきうストラップの魅力に負けて買ったものだった
使わねーとか思ってたが、なんともまあ大活躍である


軽く壁を押せば、前に進み始めるトロッコ。やがてそれは勢いにのって軽快な滑車音を響かせる


乗って早速だがお昼ごはんにする!
最近お芋三昧だったので、お昼にはすき焼き風の牛肉をおにぎりにいれてみた。甘辛い感じがたまらない


もきゅもきゅと頬張れば、口いっぱいのすき焼き風味
卵焼きも一緒に食べる。すき焼きと卵って、とても相性いいよなー


食べ終えて一息つく。茶州への速度を考えると藍州へは5日ほどでつくだろうか
何もすることなく座っているのもあれなので、俺は荷物から「さいうんこくげんさく」の綴じ物を出す。なんだかんだ持ち歩いているこれだが、まだ活躍の場面はない。しかし、薄れる記憶をまた思い出させるのに役立つ


「……そうか、俺、もう40なのか…………」


ぽつりと呟いてその事実になんか心折れそうになった


「おっさんじゃん…?」


外見こそ、この彩雲国にトリップした25の頃と変わらないが、あれから18年。原作開始なんてされるときにはこちらで生きた年数の方があちらより大きくなる。なんていうか、信じられん


「……ま、心は永遠の20代、だから問題ない」


誰に言うでもなく自分に言い聞かせるように俺はむんっ!と右手を強く突き上げた。

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空中三回転半宙返り土下座
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