「えーと、楊修?」
「はい、何でしょう」
まだ眼鏡もかけていない、能力はありそうだが官吏としては未熟そうな新人進士姿の彼。
「取り敢えず『流石貘馬木殿』と思うが同時に『楊修、あれに目をつけられたなんてお前もお疲れ様』だ」
「はあ……」
ぽんぽんと肩をたたけば、戸惑いがちに声が返ってくる
「今は貘馬木殿とか貘馬木殿とか貘馬木殿の相手大変だと思うけど、俺もなるべくあの人を何とかしようと思ってるから、お前は尚書に専念して大丈夫だ。立派な吏部侍朗になってな」
「はいぃ?!」
「お前なら出来る。ゆぅきゃんどぅいっと!」
俺の激励の言葉に戸惑い目を白黒させる楊修。おお、彼にもこんな時期があったものなのか。動じない男になれよ、楊修
「ああ、取り敢えずこれ。書類仕事の仕方っていっても俺は特別変なことしてないから。ただ仕事しやすいように整えてからするってだけ。その整えるのも慣れればはやくなる。教えることはそれだけだな」
そうしてぺらりと紙を渡す。書類の『整え方』についての詳しいことを思いついたこと片っ端から書き連ねたただのメモ
「読んで分からなきゃきいてくれればいい。まずはまあ、ゆっくり俺がちょっとやってみるからみてて。そのあとやってみてくれ」
「分かりました。あ、ええと、お名前は……」
「棚夏 櫂兎。棚夏でいい」
「わかりました。では、これからご指導のほど、よろしくお願い致します、棚夏殿」
改まって挨拶され、少し照れ臭くなりつつも姿勢を正し、俺からも返す
「よろしく、楊修」
そうして、普段通りの書類の処理を見せる
「……っ、え、何でその書類がこっちの山にいってこの書類はここになるんですか!」
「あー、それは調査の対象者は同じだけど、こっちの書類は戸部に適しているかどうかの調査で、こっちのはどの部に適しているかの調査な感じ。
戸部は人員少なくて募集かけてるから、ある程度の人数見繕った中から戸部への異動者を選ぶための調査してて、その一部としてみられるのがこの書類。ただ単にその人の位上げるだとか、今の位置で問題はないかとか個人的な面での書類がこれだね」
「……………それを一瞬で判断して山分けるのですか……」
「慣れだよ、慣れ。戸部のほうで人事に動きあること知ってれば迷うことないしね」
こら、そこ。どうしてこっちをこいつ本当に人間か?みたいな目でみてるの。楊修、お前もか。
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bkm