「だから、教育。これからを生きていく奴らに。
小難しいことは別にいいから、せめて役に立つことや一般常識くらいは
知っていて、何かが変わるなら、いや、何かを変えられるように」
そこまでいって、息をゆっくり吐いた。
「………いつ居なくなるかもわかんないのに、っていうか帰りたがってる癖してここで官吏やりたいって思ってる俺がいてさ」
『今』とは違う彩雲国をみたい俺がいて。
「できるかも、わかんないのに」
「やればいい。やってみれば、わかるだろう」
「どうすりゃいいか、わかんねーもん」
下を向けば頭を抑えられグイと無理やり上を向かせられる
「……いひゃい」
頬を両手で抑えられタコみたいな口になっているのがわかる
「分かるまで、考えればいい。だいたい、分からなくても、何もしないお前じゃないだろう」
「応援してる〜 とか、頑張れ〜、とかないの?」
手を離され頬を撫でながら言えば、コツンと頭を小突かれた
「言わなきゃ、出来ないか?」
「………やりますー」
全くもって、甘えたいときには甘やかせてくれないんだから、ひどい友人だ。
でも、いい友人。
「ほら、それより後宮やら行くんじゃなかったのか?」
「あ、うん!」
結構殲華と話し込んでしまったせいで、後宮に居られる時間は少なそうだ
「何なら夜後宮まで会いにいくぞ」
「……冗談でもやめてくれ」
そんなことになれば噂の嵐が吹き荒れる。だいたい俺は家に帰るんだから来たっていない
鬘の髪を綺麗に結い留めて、俺は殲華の室を出た
「それでは、また会いましょうね」
「……この前も思ったんだがお前のその声の変わり具合怖いぞ」
「失礼な奴ですわね、結構無理して出してるんですからそんな風に言わないでくださいまし」
ばっちり華蓮モードで受け応えして、後宮に向かった。
……また途中で飛翔に会って呆然とされた。俺の女装ってそんなに酷いの…?
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