「熱も下がっとるし変な厄も憑いとらん。もう大丈夫だろう」
「本当ですか!」
結局二週間屋敷にはこもりっぱなしになってしまった。久々になまった身体を動かす。このままじゃ隼凱にはたるんどる!とか言われそうだ
さて、まずは邵可の邸に行って、その後は後宮で顔出し声かけて、劉輝にはまた暫く会えないということを伝えて……取り敢えずすることはそんなものだろう。
上着をひっかけて早速俺は邵可邸に向かった。
「こーんにーちはー」
門番さんに挨拶すれば怪訝そうな顔をされた。
「今邵可とか薔薇姫います……?」
「おお! 櫂兎ではないかえ?」
そこで庭にちょうど出ていた様子の薔薇姫が俺に気付き声をかけ、邸に招き入れてくれた。
邵可は出仕していていないらしい。
「ほんに久しぶりじゃの」
「だねえ…もう何年になるっけ?」
時が立つのは恐ろしくはやいものだと感じる
そこにとててと秀麗らしき女の子がかけてきた。か、可愛い!何この可愛い生物!!
「ほんにかわいいじゃろう、秀麗じゃ」
「うんうん、可愛い可愛い。邵可に糸目が似なくて良かったなー」
頭をなでれば理由がわからなさそうにしつつも嬉しそうに秀麗は笑った。あう、かわいい…
それを追いかけてきたのか、静蘭もでてきた
「奥様……お客様がいらっしゃったなら御茶の用意は私がすると…ーッ!」
俺の顔をみて固まる静蘭。
うーん、そんなに警戒しなくてもいいのに……
「静蘭、こいつは妾の古い友人じゃ」
その言葉にぎょっとした風の静蘭。ひ、ひどくない?
「別に俺、『清苑』に危害加えにきたんじゃないし、邵可と薔薇姫の可愛い娘さんと、最近きたらしい出来る家人さんのとこに遊びにきただけだし」
不貞腐れた風に言えば、静蘭は渋々納得したようで茶をいれてくれた
「せいらーん、せいらんせいらん、せぇらん」
「気持ち悪い、名を呼ぶなら一回で充分だろう!」
「客人に向かってそんな態度だなんて…ぐすん」
「ふふ、気持ち悪いぞえ、櫂兎」
泣き真似をすればビシッと薔薇姫に言われた。精神的にかなりのダメージを受けた
相変わらずにこにこな秀麗をみて、ああ、俺を癒してくれるのはここじゃ秀麗だけだよと俺はよく解らない涙を流すのだった
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bkm