試されて試されて 52
悠舜はぎょっとして黎深の袖を引っ張る


「い、いいんですか黎深そんなこと言って……」


「百合が鳳珠を選ぶのは鳳珠の勝手だ。それにたぶんそっちのがいい。ただ今の鳳珠じゃ、あれこれ小細工しないと、百合を抱え込めないだろうな」


猶平然としたままの黎深。自覚症状がここまでないというのも珍しい


「……百合姫は、あなたにとって必要な人ではないのですか?」


ぽつりと悠舜の声


「別に。いてもいなくても構わん」


「それは本当か?」


俺も重ねて問う。黎深は子供のように首を傾げ考え直した


「そうだな、いたら何かと便利なのは確かだが、その程度だ」





「……ま、考えなんてこれから変わるだろうしねえ」


俺のその言葉をきいて、何か言いたげな悠舜も言葉を紡ごうとするのをやめた









本試験が始まるまであと数週間、警備が厳しくなる前に、と俺は府庫にきていた


「邵可ー、お前の弟ワガママ大魔王すぎだろー
絶対邵可の育て方が悪かったんだと思うんだ…」


秀麗も生まれ静蘭拾っては薔薇姫とホカホカ家族して大分穏やかになった邵可に言う


「……君、久しぶりに会って開口一番がそれかい?」


「うおっ、邵可に君呼ばわりされちゃったよ。お前じゃないなんて…変なもの食べたんじゃねえの」


そう言って父茶をすする。苦さに顔をしかめるが目の前の男は気にも留めないようににこにこだ


「だって君、全く変わってないんだから。僕より若く見えるなんて…本当に人間? 年取ってるの?」


「くう、とってたらこんなにはなってねーよ。くそ…俺邵可の年上…には、見えないよな…」


はあ、とため息をつけば邵可は苦笑いする


「実のところ原因不明でさ、毎年誕生日に肉体年齢巻き戻りなんだよ、縹家もびっくりだよなー」


「…あの馬鹿当主思い出すからやめてくれ」


本当に嫌そうな顔をする邵可に、ごめんごめんと謝る。しかしこんな無茶な話信じてくれるのか、まあ事実だから信じてもらえないと困るのだが



「そうそう、毎年よくわからない米俵ありがとう」


「よくわからないって…こう、あれだよ、薔薇姫の礼儀作法教室のお礼代。あとこの前は家族増えたねおめでとう米俵も送っただろ。清苑…今は静蘭か」


「君はどこでそんな話を拾ってくるんだか…
ま、薔薇姫も君に逢いたがってたよ。よかったらまた遊びに来なよ。可愛い娘もいるしね」


おお、それはうれしいお誘い


「国試終わったらな」


その言葉に邵可が満足そうにうなずいた

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空中三回転半宙返り土下座
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