ONE PIECE [LC] | ナノ


"誇り"を掲げる場所。
「エースの言う通り、背中でよくねェかい?」と、マルコは言った。

"白ひげ"のマークを背負うことに躊躇いはない。俺もこの船に乗って長くなって来たし、色々と慣れても来た。俺を乗せてくれたオヤジにも感謝してるし、皆、嫌いじゃない。よって、"白ひげ"のマークを背負うことは俺にとって当然のことだと思っている。嫌だとは思わない。だけど、

「.........背中は嫌だ」
「なら胸にするかい?」
「胸も嫌だ」
「だったら何処に入れるつもりなんだよい」

入れれる場所に入れる。胸と背中以外で。
体の中で面積の広い場所にマークを刻むのが一般的らしいが、俺はその部分を断固として拒否した。
色々問題がある。そこに刻めない理由があって...だけど説明するのは難しい。

「おれは太腿とか入れてもイイと思うぞ!」
「黙れサッチ。てめえの内腿の動脈にメス入れられてえのか?」
「あ、俺も内腿はイイと思う!結構エロいし!!」
「黙れエース。てめえので入れとけ」

二人を一喝したものの妙な妄想でも繰り広げてんのか随分気持ち悪い顔でうんうん頷いてる。
"白ひげ"のマークは"誇り"だぞ。そんな大事なもんをわざわざ太腿だの内腿だのに入れた日には出すにも出せねえ。入れるからには俺だって出したいんだ。それにはもっと違う場所を選ぶ。勿論、背中と胸以外で。

「......頬に入れてもらうか」
「頬!?」
「目立つしカッコ良くねえか?」

此処だったら隠さねえ限りは絶対見えて、一目瞭然で俺が"白ひげ海賊団"に所属してるのが分かる。それに露出狂・マルコは「"誇り"を主張してるだけ」と言った。だったら頬はうってつけの場所だと言ってもいいだろ。ただ、痛えかもしれねえけど。

「おめェ...時々大胆なこと言うよい」
「そうか?」
「頬とか、あんま聞かねェよい」
「そうか?俺の知り合いの息子は思いっきし顔にあるらしいぞ」

その人曰く"久しぶりに写真を見たら息子の顔半分に意味不明なものが入れられてました"と。凄く目立つ顔になってしまったから早々会えないとも言ってたっけな。やっぱり胸や背中より頬の方が目立つだろうな。

「......頬、」
「ダメだダメだダメだダメだー!」

別にエースが痛いわけじゃなくて俺が痛いだけ。だったらエースには関係ねえし、俺自身の問題だ。
そう俺は考えているにも関わらずエースは高速とも言える首の横振りを見せてただ「ダメだ」と連呼し続ける。いっそのこと...その首がもげちまったら静かになるんだが念じたらもげねえだろうか。

「落ち着けエース。入れられるのは俺だ」
「馬鹿野郎!おれが掘――...」
「死んどけよい!!!」

.........

「おれとしてももう少し無難なとこを勧めるよい」
「随分と冷静に会話を続けたなマルコ」

そして、もう復活しちまった。エースは丈夫なヤツだな。
無難とか相場とか聞くとか聞かねえとか、ルールはないわけだから何処に入れても構わないと思うがどうも周囲がうるさい。頬にするんだったらその彫り師の居る島に着いたらしれっと場所を言って入れてもらう他なさそうだ。

俺はいいと思うんだけどな、頬。ただすぐに身元がバレちまって手配書出そうだけど。

「まあ...時間もあるっぽいから考えとくか」

もしかしたら頬以外にインパクトのある場所とか思いつくかもしれねえし。
と、そんなことを考えて話を終わらせようとしていた時、珍しく真面目な顔して考えてる風のサッチが口を開いた。

「つーか、背中と胸が嫌な理由って何かあんのか?」

色々問題はある。話さないだけで。あるから拒否してることくらい分かれ。

「.........阿呆サッチに教える義理はねえ」
「おれは?おれは?」
「馬鹿エースにも教えねえよ」


むしろ、誰にも教えねえ。絶対に。

11.5. 静かに眠る風の音
12. 夏島ギャルげっちゅー

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