2月6日
「カカシ先生!甘栗甘が抹茶パフェ半額なんだってばよ!」
「だから、みんなで食べに行こうって話してたんです!」
「親しくなるには食事を共にすると良いと、本に書いてありましたから」
「あら、そーなの。お前らが珍しいね、ま、でも俺は良いかな」
「ええー!?」
「可愛い部下と親睦を深めようってばよー!」
行こうよ!行こうよ!と駄々を捏ねられ、腕を引っ張られ、カカシは滅多に行かない甘栗甘に向かった。
「抹茶パフェ4つで!」
「俺はお団子でいいよ」
「折角だから、一緒のもの食べましょう!」
ナルトとサクラは分かっていた。お団子ではあっという間に食べ切ってしまうため、出来るだけ食べるのに時間が掛かるものを選ばなければならない。一瞬でも、カカシの素顔を暴くチャンスを伸ばすために。
甘栗甘のパフェは、生クリームやソフトクリーム、あんこも白玉もたっぷり入っていて、流石のカカシでも一瞬で食べきるのは難しいだろう。
ナルトとサクラが心の中でニシシと笑っていると、店員の女の子がパフェを持ってやってきた。
「抹茶パフェお待たせしました」
「わー!美味しそう!」
「やっぱり女の子は甘いものが好きなんだね」
店員の女の子を見上げた瞬間にサイは、いつも細められている目をパッと開いた。
「あ、あなたは確か」
「え?わ、私ですか?」
「サイ、このねーちゃんの事知ってんのか?」
「サイ、失礼なこと言うんじゃないわよ」
それは大丈夫だと、サイは再び目を細めた。
「確か、カカシさんの恋人ですよね」
「え、えぇーー!!」
「ホントかよ!カカシ先生ぇ!!」
ナルトとサクラがカカシの方を見れば、既にパフェは食べ終えて、ごちそうさんと手を合わせていた。新しい事実を目の前にしてカカシの素顔のことは頭から抜けてしまっている。ナルトはテーブルを飛び越えんばかりに乗っかって、カカシに詰め寄った。
「お前らには関係ないでしょーよ」
「ケチー!」
「カカシ先生とお付き合いしてるんですか!?」
「え、えっと……その」
カカシは立ち上がって、テーブルの伝票を手に取った。
そして、それを彼女に渡しておあいそで。と伝える。
カカシは笑いながら、慌てる彼女の頭を撫で、レジに連れて行った。こちらを振り返り、カカシはニコリと笑った。
「あんまり名前を困らすなよ」
そう言って彼女の肩を抱く仕草があまりにも自然で、それ以上質問するのは愚行のように思えた。
カカシがいなくなったテーブルで、ナルト達はまだひとくちも付けられていない自分達のパフェを大人しく頬張った。
2月6日 end.
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