1月12日




「カカシー!見てー!」
「何よ……」

底冷えする夜、名前を抱き枕にしながら眠っていたカカシは、突然抱き枕がいなくなるものだから目を覚ました。名前が抜けた隙間から、冷たい風がカカシの寝間着の中にまで入って来る。ぶるりと身震いをしながら、右目だけ開けて窓の方を見てみれば、名前がベッドの上で嬉しそうに飛び跳ねていた。

「雪積もってるよ!」
「そう……そりゃ、良かった」

寝る前に、テレビの天気予報を見ながら雪が降ると聞いて興奮していたのを思い出す。子供じゃないんだから……と思いながらも、カカシは名前を再び腕にしまいこんだ。

「離してー!雪だるま作る、かまくら作る!」
「上忍なんだから、もうそろそろ落ち着きなさいよ」
「んぅー……」

そう言いながらも、子供みたいな恋人を可愛くて仕方ないと思っていた。だから、名前がどう動くかいつも試してしまうのだ。名前は、むりやりカカシの身体を起こし、寝間着の上に厚手のコートとマフラーを巻き、手袋をはめさせた。いつも着ている口布のついたインナーは無かったが、こんな雪の降る真夜中に出会う人もいないだろう。
カカシがベッドに腰掛けながらぼーっとしていると、名前も寝間着の上にコートを羽織って雪だるまを作る為に買ったと言う真新しい手袋をはめた。

「さて、雪だるま作りにいこーう!」
「仕方ないねぇ……」

さっさと出ていってしまった名前を追い掛けるように、カカシはやっと腰を上げた。

玄関を開けた瞬間に、顔にペシャリと冷たいものが当たる。名前が雪玉を持って笑っていた。

「名前ー、お前……」
「あはは、カカシったら雪まみれ!」

カカシは名前を担ぎ上げると、近くの公園に走り出した。

「きゃーたすけてー!」
「もう本気になった」

雪だるまを作ろうと言っていたのに、公園についた頃には完全に雪合戦になっていた。互いに上忍だけあって、こんなに本気の雪合戦をするのは初めてだった。始めは、やんわりと握った雪玉をぶつけ合うだけだったが、どんどん硬さも大きさもエスカレートして行く。
名前は、背後からカカシに近付き思い切り大きな雪玉を頭にぶつけた。
その瞬間、カカシの身体はボンと音を立てて只の丸太に変わった。

「か、変わり身!」
「ちょっと、その雪玉は危ないじゃない」
「ひゃ!」

いつの間にか背後にいたカカシが体術を掛けてきて、体が宙にふわりと浮いた。
雪の上にふんわりと寝かせられて、頭の下で雪がクシャリと潰れる音がした。名前に馬乗りになりながら、カカシは名前の体を雪に押し付ける。
月の光が雪に反射して、カカシの白い肌がよく夜空に映えていた。体力もチャクラも使ったせいで、お互いの口から白い息がハァハァと抜けていく。忍術を使ってまで雪合戦をするなんて、カカシにとっては予定外だった。言うまでもなく、名前にとってもだが。

「名前の負けね」

カカシが、右手に硬そうな雪玉を持ったままニヤリと笑った。

ぶつけられる!名前は咄嗟に目を閉じた。

しかし、顔にぶつかったのは冷たい雪ではなく、熱く柔らかいカカシの唇だった。舌を割り込ませながら、長く長く触れる。
やっと唇が離れて、名前はやっと目を開けた。

「ん……」
「参りました、は?」
「……まいりました」
「じゃあ、負けた名前には俺の言う事を聞いてもらうよ?」
「え?何それ、聞いてない!」

カカシは、そりゃ今初めて言ったからね、と平然と答えた。

「じゃあ、今度は暖かいベッドの上で頑張ろっか」
「へ!?」
「名前可愛すぎ。我慢できない、本気になった」

再び名前を担ぎ上げて、カカシは家路に急いだ。
名前の悲鳴は、虚しくもしんしんと降る雪に吸い込まれていった。





1月12日 end.

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