不安定なベッドの上で膝立ちは、バランスを取るのが難しい。崩れそうになり、名前はカカシに抱き着いた。汗でしっとりと濡れたカカシの肌に、名前は身を預ける。
カカシは長い腕を名前の体に回して、離れないように力を込めた。密着したお互いの肌、異様なまでに熱く感じた。

唇が重なるよりも早く、舌が絡み合う。カカシと触れ合うだけで、どうしてこんなにいっぱいになってしまうのだろう。出会った時からだが、カカシのことが頭から離れない。仕事の時も、友達と遊んでいる時も、ずっとカカシがいる。

激しくなんかない。それなのに、息は上がり汗が止まらない。

カカシの手が、再び内腿に触れる。名前からは、溢れる蜜。ぐっしょりと濡れている。
ゆっくりと、ゆっくりとカカシの手が近付いてくる。やっと割れ目に触れた瞬間、思わず名前は肩を震わせた。
カカシは、唇を離して名前を見下ろす。

「可愛くて、意地悪するの忘れてたよ」
「えっと……」
「俺は、可愛がるのも意地悪するのもどっちも好きなんだけど、名前はどうして欲しい？」

そう言いながら、名前の割れ目をずっと指で擦り続けている。入りそうで入らない微妙な所を弄られて、もう意地悪しているのではないかと思う。

「わ、わたし……」

名前が言い淀んでいると、今度は関節1つ分だけ指が入ってくる。

「いじわる……してほしい」
「そう。悪い子だね」

そう言いながら、カカシは名前の中から指を抜いた。

「自分で下着全部脱いで」
「うん」

胸の上でグシャグシャになったキャミソールを脱いで、膝に絡まる下着を抜いた。その間に、カカシがクローゼットを開けて何かを取り出していた。

「横になって、バンザイして」

言われるまま、名前は仰向けになり両腕を頭の横に置いた。カカシは、名前の両手をひとつに纏めると、手首にスルスルとネクタイを巻き上げた。

「え、カカシ、なに？」
「静かに」

名前の両手を頭の上で纏める。

「良いね、うん」

名前は試しに腕を動かしてみたが、抜ける気配は無かった。想像していたものとちょっと違っていたが、カカシはとても興奮した様子で名前を見下ろしていた。
何をされても逃げられない、それなのに妙な興奮を覚えている。

カカシは、名前に馬乗りになり、名前の胸を下から掬い上げた。柔らかな膨らみの真ん中で、散々にカカシに弄られて来た乳首がピンと張っている。誘われるように口を近付けると、飴玉を舐めるように口に含んだ。

「や、カカシ……」

自分がその気になれば、どうにだって名前を好きに出来る。その状況に興奮しないと言えば、嘘になる。
確実に、このいつもと違う状況に興奮している。自分も下衆な男の1人だ。今日は、それでもいいのかも知れない。
吐息を堪える名前の乳首を、今度は上下の歯でやさしく噛んだ。同時に、名前の体が僅かに跳ねる。

「やっぱり、噛まれるの好きなんだ」
「ち、ちが……」

名前の反応を観察しながら、少しずつ噛む力を強くした。
吐息が泣き声のように変わり、カカシは咄嗟に口を離す。

「痛かった？大丈夫？」

名前の頬にキスをしながら問う。調子に乗り過ぎたのではないかと、やらかしてしまったのではないかと感じたのだ。
名前は、固く閉じていた瞼を開く。涙で潤んでおり、カカシはごめんね、と唇を重ねる。

「ちがうの」
「ん？」
「いつもより、刺激、強くて。その、自分がもっと変になっちゃいそうで……それで」

カカシと目を合わせないように、名前はゴニョニョと小さく呟いた。

「名前、そう言うこと言うとね」
「カカシになら……良いから」

カカシは、大きくため息を吐いてから、名前の顔を正面に向かせた。困ったように眉を下げたカカシの顔。

「加減、出来なくなっちゃうでしょ」

そう言って、カカシは、名前の首に顔を埋めた。汗ばんだ首筋、喉に舌を這わせる。剥き出しになった脇にも、カカシは出来心で舌を伸ばした。恥ずかしいのか、名前は身を捩らせる。不思議なもので、好きな人の体と言うのはどこもかしこも可愛いと感じる。
可愛いと思うと、噛みたいと思ってしまうのは何故だろうか。今まで外でデートしていた時も、難度も噛みたい衝動に駆られて我慢を重ねていた。
同棲を始めてからは、周りの目がないのを良いことに時々軽く噛んだり舐めたりしていた。その度に、名前は声にならない悲鳴をあげた。その反応も可愛くて、嫌われないように気を付けながらやっていた。

いつもより反応の良い名前に、カカシはもう少し調子に乗ってみようかと企んだ。

「名前、俺の挿れて欲しい？」
「ん、うん」
「じゃあさ、俺の上に跨って」

名前を起き上がらせると、今度はカカシが仰向けになり名前はカカシの腹の上に跨った。

「俺の許可があるまで、勝手なことしちゃダメだよ」
「うん」

カカシは、名前の腰を掴んで猛った自身の上に座らせた。名前の割れ目の下に、カカシ自身が沿った状態にすると、掴んだ腰を前後に揺らし始めた。
殆ど触れても無かったのに、蜜でいっぱいに濡れたそこは、カカシが擦れる度にくちゅりと粘っこい音を立てた。

「今度は自分で動いてみて」
「……ん」

名前は、恐る恐る自ら腰を揺らす。柔らかな襞に隠れていた突起に、カカシが擦れて名前はつい声を漏らす。

「あ、カカシッ」

名前の柔らかな肉と蜜に包まれて、我慢を重ねていたカカシは暴発寸前だった。ずっと指でも舌でも可愛がりたかったが、名前を焦らす為にはと我慢していた。まだ指で解されていない名前の中は、容易にはカカシを受け入れないだろう。

少しずつ名前の動きが大胆になってきた。それに比例して、カカシの下腹部も熱くなってきた。カカシは自身の先端を手で押さえた。

「名前、いくね」

名前に挟まれたまま、カカシは熱を解き放った。手の中は、ねっとりと粘っこい精液で汚れて早く拭いてしまいたい。

「ちょっと止まっててね」

カカシの声が聞こえていないのか、名前は腰を擦り付けてくる。とにかく、名前を止めようと腰を掴むと名前はわざとなのか、たまたまなのか急に前後のストロークを延ばした。

「あ、ちょっと！」

まだ真っ白なままのカカシの先端は、名前の柔らかな肉の中に吸い込まれ、先端と名前の割れ目が擦れ合う。やばい、そう思った時には、もう名前の中にカカシの頭は入り込んでいた。名前は悲鳴を上げて、動きを止めた。

「名前」
「あ……ごめんなさ、い」
「……悪い子だね」

カカシは名前の両足を開かせると、半分だけ中に入り込んでいる自身を確認した。

「名前、入っちゃったよ」

縛られて、意地悪されて、興奮して危ういことにすら気付かなかった。急にお腹の中にずしりと重みが来て、やっと気付いたのだ。

「名前、一旦やめとこう」
「で、でも、カカシ……」
「俺のことは良いんだよ。名前に負担が掛かるのが心配なのよ、俺は」
「私は……から、その……」

名前がまごついていると、カカシは身を起こし、逆に名前を押し倒した。カカシはいつになく真剣な顔で、名前を見下ろす。

「じゃあ、俺の子供産んでくれるの？」

名前は、顔を真っ赤にして何度も頷いた。

「名前、君って子は……」

繋がったままのそこが、ゆっくりと動き始めた。カカシが名前の膝裏を掴んで、ベッドに押し付ける。散々に焦らされたそこは、いきなりカカシの質量が差し込まれたにも関わらず、すんなりと受け入れた。僅かな動きだけで、名前は身体を震わせた。
カカシは、少しずつ動きを速めながら名前に自分を咥え込ませる。名前は、ただただ喘ぐことで、この快感に耐えるしか術はないようだった。

「そんな未来があったらさ、どんなに幸せだろうね」

眉間に皺を寄せながら、カカシが切なく呟く。だが、名前の耳には聞こえていなかったようだ。

縛られた両手は、頭の上でベッドに引っ掛けられる。
相変わらずカカシは、名前の弱点を突く。
名前はそっと目を開けると、カカシと目が合った。

「名前、ごめん。俺が限界」

カカシは、名前の最奥まで簡単に到達すると容赦なく自身を更に押し込んだ。名前の中でそのままカカシが爆ぜた。蜜と精液で泡立ったそこに、カカシが根元まで入っている。

吐き出し終わっても、抜いてしまうのが惜しくてカカシはそのまま名前の上に覆いかぶさった。息切れを起こす名前の汗を唇で拭った。

「無茶させたね、大丈夫？」
「う、うん」

名前の鼻先に、カカシの鼻先が当たる。

「その、あのね」
「うん」
「私はうれしいよ？」
「え？」
「その、カカシのことが、大好きだから」

途端、カカシが身を起こして片手で顔を隠した。

「だい、大丈夫？」
「大丈夫な訳ないでしょ、本当に」
「ごめん……」

名前は、慌てて起き上がろうとしたがカカシに阻まれた。肩を押されて、再びベッドに沈む。顔を覆う指の隙間から、カカシと目が合った。

「10年も待ち望んでたからさ、やっぱ破壊力がすごいよね。名前の好きは」

カカシは呼吸を整えると、顔を隠す手も外して、もう片方の名前の手に絡ませた。再び、体をピッタリと密着させて、舌を絡ませ合った。

名前は、今だに体内に入ったままのカカシを感じたくなり、ゆっくり腰を前後に動かす。最初こそ、カカシは肩をビクつかせたものの、すぐに名前に合わせて優しく腰を揺らし始めた。

互いの体液が名前の中で混ざり合い、こうして心も混ざり合ってくれたら良い。繋ぎ合う手に汗が滲む。さっきと違い、ずっと穏やかなのに、ずっと熱く感じた。

「あー、可愛い」

カカシは、名前のネクタイを解いた。名前は両腕をカカシに回し、抱き着いた。

「ねえ、名前」
「ん、ん？」
「大好きだよ」
「私こそ、大好き……」

カカシは優しく目を細めると、名前の顔にキスの雨を降らした。

「好きだよ、本当に、心から」

震えたような、掠れた声でカカシは囁く。
名前も同じように、言葉で返した。
明日も明後日も、来年もその先も、生まれ変わってもずっと好きと伝えられたら、どんなに幸せだろう。






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