手にてに
2018/12/04 10:11

 まるでシェイクハンド。右手を差し出して、ここに、と笑顔で促してくる。
 なんて酷いやつ。振る舞いだけ見たら紳士的だった。こういうやつがいわゆる「変態紳士」なんだろうか。
「ッ……」
 くそッ、という反吐を飲み込んでそこにあてがう。緩く勃ち上がった己の急所を。
 残念なことに、俺の方が変態だったらしい。変態紳士の手に勃起したち○こを握らせているのだから。
 あまつさえ、したり顔の紳士の顔に興奮しているのだから。
「ふ、あっ、あ……」
 優しく動き出した手に身体が震えた。人差し指が裏筋をなぞり、手のひらに先端が擦り付けられる。次第に手の動きは止まって、俺は本能に突き動かされるまま腰を振った。
「あっあっあっあっ」
 紳士の肩を掴んで、いや、もはやしがみついて絶頂を迎える。
 泣きたいくらい気持ちいい。紳士の左手が俺の目元を拭った。どうやら泣いていたらしいから、泣けるくらい気持ちいいのだ。
 泣かないで、なんて言いながら紳士の指が俺の先端をきつく指で撫でる。まるでち○こに言ってるみたい。
「……」
 変態、という罵倒を飲み込んだのは、それが特大のブーメランだとわかっているから。
 紳士もわかっていて微笑んだ。

終わり


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