第1話






シリウス号はポートロイヤルという大きな港に停泊していた。
そこは食料が豊富と云う事もあり、なかなかと名前を馳せていて…
街を歩けば、所狭しと軒(のき)を連ねる、食料品の売り場の数々。

にぎわう街は、酒場や雑貨屋、医薬品も充実しており
これから約1ヵ月に及ぶ長期の航海を前にして
物資の調達には、もってこいの街だった。


「おー!ここだここっ!」


停泊して3日。
注文した酒の詰まる大きな木箱が真っ先に港に運び込まれる。
それを2日もかけて全ての箱を運び終わると
次は大事な食料だ。

大の男が6人と女が1人ーー
計7人の3食分。
しかもそれが1ヶ月分の食料ともなれば、その量はもう、尋常ではない。

朝摘みで採れたばかりの新鮮な野菜の詰まる木箱が次々と港に運び込まれる。
痛みやすい野菜もあるため、ナギの指示で、すばやく木箱は甲板に下ろされ、クルー全員で、きびきび運ぶ。
そしてーー停泊して1週間を迎える頃。
荷揚げの網で最後の木箱が、ようやく甲板に下ろされた。

すみやかに木箱は船内に運ばれ、あとは翌朝。
新たな出航を待つのみだ。

この港に着いてからというもの、日暮れと共にフラフラと酒場に入りびたっていたリュウガも
この日ばかりは早めに切り上げ
船長室で最後の夜を過ごしていた。




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