亡霊が思うには


 強姦魔と血塗れペット※

はやし様リクエスト
・幸喜×準一
・強姦/言葉責め/アナル舐め


 薄暗い室内。その重さに耐えれず手に握っていたリードは離れ、もの一つ置かれていない板張りの床には赤黒い水溜まりが染みる。

「っ、南波さ……ッ」

 水溜まりのその中央。例の如く気絶した南波に慌てて寄ろうとした瞬間、暗闇から伸びてきた青白い手に思いっきり手首を掴まれる。

「ざーんねん、南波さんなら大分起きないんじゃない?つまり、邪魔者はいなくなって俺達は二人きり」

 南波を気絶に追い込んだ張本人・幸喜は相変わらず無邪気な笑顔を浮かべ「なんか運命っぽいよね!」とまた訳のわからないことを言い出す。
 触られた箇所から全身へと鳥肌が立ち、咄嗟に振り払おうとするが強い力で掴まれたそこはぎりっと軋むばかりで、顔をしかめた俺は舌打ちをした。

「糞っ、なにが運命だバカっ、離せよ……っ!」
「えーやだやだ、せっかく捕まえたんだから逃がすわけないじゃん。逃げたいんなら自力で逃げなきゃね!」

 言いながら、もう片方の手が伸びてくる。
「まあ、準一弱いから無理だろうけど」そう笑う幸喜は、言いながら服の裾を強引に捲り上げた。

「誰が……ッ」

 いきなりの幸喜の行動に身構え、慌てて離れようとするが服の下に潜り込んできた骨張った手は問答無用で腹部を撫で回す。
 虫かなにかが這うような皮膚を滑るそのもどかしい感触に背筋が震え、咄嗟に体を撫で回す幸喜の手首を掴んだ。

「ほら、こことかすごい弱いじゃん」

 瞬間、腹筋をなぞっていた幸喜の細い指先にぐりっと臍の窪みを軽く押される。
 全身の筋肉が強張り、指の腹でぐるぐると円を描くようになぞられれば慣れないその感触にぞわぞわと総毛立つ。

「っ、やめろっ、触んなッ」

 あまりの動揺でみっともなく声が上擦った。
 慌てて幸喜の肩を押し自分から離せば、幸喜は少しだけ驚いたような顔をさせる。
 それも束の間。

「本当反応いいなあ、準一は。嫌なら本気で嫌がんないとこのまま南波さんの前で犯しちゃうよ」

 そう無邪気に目を細め笑う幸喜だったが「あ、それもいいなあ。あの人セックスも出来なくなったりして」と思い付いたようにくすくすと喉を鳴らし笑った。
 口調そのものはいつもと変わらない軽薄なものだったが、こいつの場合本気なのだから笑えない。

「てめぇ……っ」
「あーやだやだ、やめてよそんな怖い顔すんの。泣かせたくなるじゃん!」

 咄嗟に身構え、逃げようと後ずさった瞬間だった。
「っ」倒れていた南波の足に躓き、そのまま水溜まりの上に尻餅をついてしまう。
 咄嗟についた手のひらにぬるりとした血液の感触がこびりつき、あまりの不快感と鉄の匂いで吐きそうになった。

「ほらほら、抵抗するならさっさとしなきゃかわいーお尻に突っ込んじゃうぞっ!」

 そんな俺に対し相変わらず楽しそうに笑う幸喜はパシャリと水溜まりを踏み、慌てて体勢を立て直そうとするこちらの足首を掴んでくる。
 思いっきり持ち上げられ、ただでさえ南波の血で不安定になっていたそこにずるりと滑り、再びぬるりと濡れた床の上に尻餅をついた。
 みっともない自分が恥ずかしくて堪らなかったが、それ以上に早くこいつから逃げたいという気持ちのが勝っていて。
 幸喜に掴まれた箇所がずぐずぐと疼き始め、足首は青く鬱血を始める。
 トラウマが現れ始める俺の体を一笑した幸喜は「それとも誰か助けでも呼んじゃう?」と楽しそうに尋ねてきた。

「確か隣の部屋は奈都だっけ、あいつなら頼んだら助けてくれるかもよ。その代わり、俺にこんなことされてる姿を見られちゃうわけだけどまあそれもそれでいいね!ギャラリーは沢山いた方が燃えるしな」

 冗談じゃない。うっかり他の連中の前で幸喜にいいようにされている自分の醜態を想像してしまい、顔面から血の気が引いた。

「あれれ、どうしちゃったのそんな顔して。もしかして想像しちゃった?皆の前でぐっちゃぐちゃに犯されてる自分想像しちゃった?」
「っ、お前まじ最低だよな……ッ」
「準一なら涎垂らして喜びそうなんだけどなあ、試してみようか」
「ッ、やめろ」
「あははっ、バカだなあ準一。やめないって言ってんじゃん。ほら、もっと暴れなきゃ脱げちゃうよ。それとも脱がされんの期待してわざと手抜いてんの?」

「全然力弱いよ」そう肩を揺すり笑う幸喜はそのまま俺の体を引き摺るように壁際へ引っ張れば、そのまま手を離した。
 ドンと背中を強く壁に打ち、その衝撃に一瞬怯む。

「っ、調子に乗んなよ」

 小さく呻き、そのまま立ち上がろうとすれば正面に座り込む幸喜は「ははっ!準一が怒った!」と楽しそうに笑った。そして、そのまま穿いていたズボンのウエストを掴まれる。

「でも、あんまでかい声出すと他のやつらに気付かれちゃうかもよ?」

 慌てて幸喜を振り払おうとしたとき、その言葉に一瞬俺は硬直した。それがまずかったようだ。

「あ、もしかして準一そういうの待ってんの?あーごめんごめん、気が利かなくてさあ」

 まるで決めつけるような自問自答。
 笑いながら、幸喜はずるりと人のズボンを強引にずり下ろしてくる。咄嗟に制止しようと手を伸ばすが、間に合わない。膝上まで下着ごと脱がされかけ、またこの展開かと青ざめる。

「だから、なんで俺なんだよ……っ」
「そういう可愛いこと言うからに決まってんじゃん」
「ッ相当趣味悪いぞ、お前」
「あっはっはっ!そんくらいで照れんなよ」

 照れてねえよ。そう言い返そうとした瞬間、下腹部に伸びた幸喜の手は腿を押さえるように這う。
 親指を軽く埋められ、そのまま肛門を拡げられたときなんか死にたくなった。

「なになに?下のお口は素直ですねーとか言われたいわけ?」

 笑いながらもう片方の手で同じように拡げてくる幸喜は、セクハラ染みたことを口にしながらそのまま拡げた下腹部に顔を近付けた。
 というかこの状況そのものがセクハラなのだが。思いながら、股ぐら顔を埋めるの幸喜の髪を掴み慌てて引き離そうとしたときだった。
 息が吹きかかりそうなくらい幸喜が近づいたそこに、唾液で濡れた肉厚のあるそれがべろんと触れる。瞬間、あまりの気持ち悪さに「ひぃ」とかなんか変な情けない声が喉奥から漏れた。

「はっ、ちょ、待っ……おいッ!」
「にゃあに?」
「なに、やって……っ」
「ケツ舐め」

 それはもう清々しいくらいの即答だった。
「慣れてないところに無理矢理捩じ込むのもいいけどさ、たまにはこーいうのもいいかなって思って!」御姉様方に見せたら過半数落ちそうな無邪気な笑みを浮かべた幸喜は人の腿を押さえるようにぐいっと腰を持ち上げ、高さを調節しながらそんなことを言い出す。可愛げの欠片もないとはこういうことだろう。

「よくねえよ、バカだろっ!」

 そう足を動かし、幸喜の顔面を蹴りあげようとするが肝心の幸喜は人の足首を掴み難なく交わす。

「あっはっはっはっ!元気いいね準一!そうそう、やっぱ準一は嫌がってる顔が一番だね!」
「くそっ、まじ意味わかんねえ……ッ」

 そのまま足首を取られ、振り払おうと横に動かせば「おおっ、あっぶね」と笑いながら幸喜は強く足首を掴み、そのまま自分の肩にかける。
 担がれ、慌てて下ろそうとするが幸喜に掴まれたままのそこは動かない。
「下ろせって」そう言いながら覆い被さってくる幸喜の背中を蹴るが、効果はない。それどころか幸喜は人の反応を楽しそうに眺める。

「暴れるのはいいけどさあ、準一気付いてる?」

 不意に尋ねられる。小馬鹿にするような言葉にむっとしながら顔を上げれば、嫌な笑みを浮かべた幸喜と目があった。

「こっからだとすっげー丸見えなんだよね、ケツの穴。足動かす度にひくついてさあ、エロイの。……ってあれ?どうしたの準一、顔真っ赤っ赤じゃん」

 くだらないこと言ってんじゃねえよ。そう一笑してやりたかったのに、改めて自分の体勢を理解した俺はなんかもう動くことにすら躊躇ってしまう。

「どうせならもっと抵抗しろよー、それともなに?好きにしちゃっていいの?」

 怯む俺に対し、にやにやと笑う幸喜はそうやっすい挑発を仕掛けてくる。
 あんなことを言ったあとでそんなことを言うなんて狡すぎる。

「……ッ」

 罵る言葉も出なくて、どうにかしてこいつを追い払うことは出来ないのかと考えるが思い当たらない。
 切羽詰まって、咄嗟に幸喜の顔面に手を伸ばし目を塞ごうとするが顔に触れる前に手首を取られた。

「あはっ、かわいー。それで抵抗したつもりなわけ?」

 バカにしたような笑顔。
 悔しくて仕方がないのに、逃げることすら儘ならない。抵抗すればするほど幸喜を喜ばせてるみたいでなんだか自分が酷く惨めになる。
 南波さんは使い物にならないし背後は壁だし幸喜に掴まれてるせいで瞬間移動も出来ないし逃げることもできない。
 おまけに抵抗しても向こうが上手ときた。八方塞がりとはまさにこのことだろう。なんて冷静に思考を働かせたときだ。

「残念!時間切れでーす!」

 幸喜はそうにこりと微笑んだ。因みになんの時間制限か全くもって意味がわからなかったが取り敢えず逃がしてもらえるということはまずなさそうだ。嘆かわしい。

「ふッ、ん、ぅ……ッ」

 錆びた鉄のような匂いが充満した室内にぐちゅぐちゅと耳障りな音が響く。主に俺の下半身から。
 唾液で濡れた幸喜の長い舌が奥まで入ってきて、舌先から垂れる唾液はたっぷりと持ち上げた腰の奥まで流れ込んで、内壁を濡らし、蠢くように全体を解していくそれになんだかもう変な感じだった。
 まず普段普通にしてたら舐められないような場所を味わうかのようにずっぽり突っ込まれた舌で内壁を舐め回されてる時点でなんだか夢みたいで。もちろん夢は夢でも悪夢の部類だ。
 力む度に中から溢れた唾液が持ち上げた腰から背中まで逆流し、これまた気持ちが悪い。
 太股を掴む幸喜の指が食い込み、構わず幸喜は顔を近付けて深くまで舌を差し込む。幸喜の髪が、鼻息が、下腹部を掠り、そのもどかしい感触が嫌だった。

「っ、もう、いいだろ……ッ」

 堪らなくなって、幸喜の髪をぐいぐい引っ張ればちゅ、と小さな音を立て幸喜はようやく唇を離した。
 唇を濡らす唾液を舐め「準一ったらせっかちさんだなぁ」と幸喜は笑う。

「学校で突っ込むときはよく濡らせって習わなかった?」

 習わねえよ。というか最初慣らしもせず捩じ込んで来たやつが言うか。

「まあ、でもこんくらいやっときゃ十分かなぁ。ほら、見て見て。準一のここ、俺の唾液でぐちょぐちょに濡れてる」
「っ、いちいち言うな……ッ」

 ちゅぷりと濡れた音を立て肛門を撫でる幸喜。その指の感触にぞくりと背筋が震え、なんだかむずむずする。
 中に溜まった唾液が気持ち悪くて今すぐ指突っ込んで掻き出したかったが、それを実行するより先に幸喜の指がつぷりと肛門の中に入ってきた。

「ここまでなってたら、まあ、指の一本や二本くらい……ほら、簡単に入っちゃった」
「っ、ん、ゔぅッ」

 唾液が潤滑剤の代わりになり、第一関節まで入った指はそのまま滑るように中を割っていって、ただでさえ舌で解されたばかりのそこは意思に反して幸喜の指を受け入れる。

「っ、はッ、ぁ、くそ……ッ」
「んーやっぱいいなあ、これ。指にすっげー絡み付いてくる、いつまでも締まりいいって最高だよねぇ」

 指の腹が内壁をなぞり、ぐにぐにと中を探るように動く。
 体内で動くそれにビクリと腰が跳ね、押し寄せてくる圧迫感と異物感から逃げるように身動ぎをさせるが勿論逃げれるはずがなく。

「ッ、ふ、ぅ……ッ」
「ぬるぬるしてさあ、ほら」
「んぅっ、んん……ッ!」
「すぐ根本までいっちゃうし」

 それどころか二本目の指を突っ込まれ、そのままずぷずぷと強引に埋めてきた。
 根本から関節へと中をなぞり、奥を突くように指を出し抜きされる度に持ち上げられた腰が揺れる。そのまま指先で内壁を刺激されれば頭が真っ白になり、別の生き物みたいに下腹部は小さく痙攣した。

「なに?準一指でされんの好きなの?中すごいヒクついてんだけど」
「っ、ちが、う……ッ」
「へえ?違うんだ?ってことはもしかしてケツに入れられたら無条件で喜んで咥えちゃうってこと?」

 どうしてそうなるんだ。こいつの脳味噌には精子が詰まってるんじゃないんだろうかと疑いたくなる程訳のわからないことを言ってくる幸喜は中で指を曲げ、中を掻き回してくる。
 そして、その指責めに耐えれず悶絶していると調子に乗った幸喜は人の顔を覗き込むなり「試しに俺のちんこ入れてみようか」とか言い出した。試しにも糞もあるか。
 前回思いっきり酷い目を遭わされ、トラウマになっていた俺は目を見開く。

「いやだっ、抜けよっ、抜けって」

 慌てて幸喜の手を掴んだ俺はそのまま抜いた。
 半ば強引に引き抜いた指はあっさりと出たが、その拍子に幸喜の指で中を思いっきり擦ってしまい嫌な感触が体内に残ってしまう。
 よし、さっさと逃げるぞ。そう思った瞬間、腰を掴まれたと思ったら先ほどまで指やら舌やら突っ込まれていたそこに嫌な肉質が当たる。
 ぐにぐにと肛門に宛がわれた硬いそれには覚えがあった。
 目を丸くし、恐る恐る視線を下腹部に向ければ俺の腰を持ち上げてくる幸喜は自分の性器を押し付け挿入しようとしていて、それを目の当たりにした俺は徐々に血の気が引いていくのがわかった。

「ほら、暴れない暴れない」
「っ、離せッ」
「ははっ!なに言ってんの。離さないのは準一の方じゃん」
「は……っ?」

 慌てて幸喜の体を退かそうともがくが、手首を取られそのまま床に押し付けられる。
 手が触れ、指を絡められた。
 恋人繋ぎ。力一杯捉えられ、慌てて手を振り払おうとしたときだった。

「っ、ぃ゙ッ」

 無理矢理捩じ込むように体内に入り込んでくるそれはにゅるりと濡れた内壁を擦るように一気に深くまで突き刺さって、圧迫された喉奥からは唸り声に似た呻き声が漏れる。

「あーあ、準一が暴れるから入っちゃった……っ」

 まるで俺のせいだと言わんばかりの幸喜は人の顔を覗き込み、笑いながら片手で持ち上げた人の腰に根本まで押し込んだ。
 声が震動になり結合部から伝わって、その微動ですら大きな刺激となってこちらの中に入り込んでくる。
 圧迫感にもがく俺を見下ろし楽しそうに笑う幸喜はそのまま根本まで入ったそれをずるりと抜き、そのまま一気に突かれた。瞬間、濡らされたそこを這いずるようなその形容しがたい感触に背筋がぞくりと震える。それに構わず、幸喜は腰を打ち付けてくる。
 激しいピストンに引っ張られた内壁は捲れ、出し入れする度に自分の体から響く濡れた音が耳障りで。

「っ、ふ、ぅっ、ッ、や……っ抜……ッ」
「だから、抜きませーんってば。しつこいなあ、準一も。諦めが悪いよっ」

 触られた箇所が疼き、突かれる度に声が途切れる。
 元々挿入されるために出来ていない俺の尻は幸喜のを無理矢理突っ込まれ、そのまま擦るように乱暴に中を突かれればあまり使わない筋肉が色々悲鳴を上げた。
 息苦しくて、まあ別に呼吸をしなくても死ぬわけではないのだがやっぱり息苦しくて、覆い被さってくる幸喜の腕を掴み指を食い込ませ退けと懇願するがあくまでも幸喜は「寧ろここで止めたら辛いのは準一じゃん」と笑う。

「っな、ぁっ、ちが……っ」
「ちがくないちがくない。奥突かれる度に喜んで腰振ってるやつがそんなこと言ったところで全く説得力ねーんだけど」

 小馬鹿にするような言葉に反論したかったが、口を開こうとする度に突かれ頭が真っ白になりなにを言おうとしていたのか自分でもわからなくなる。
 痛みがないだけましかもしれない。そう思っていたが、寧ろ感触だけが残っているというのはなかなかやっかいで。
 勃起したそれに体内を擦られ乱暴に腰を打ち付けられる度にビクビクと跳ねる魚のように反応する下半身を止めようとするがそれすらも儘ならない。

「っ、待っ、ぁ……ッんん……ッ!」
「なに?全然聞こえねえよ、ははっ、ぐちゅぐちゅうっせぇなこれ」

 せめてゆっくり。そう幸喜の服を掴み動きを止めようとするが、寧ろ相手にしがみつくような形になってしまう。
 案の定人の話を聞いていない幸喜は俺の腰を動かしまるでオナホかなにかで扱くように性器を挿入始めた。
 こっちの体勢やら体が辛いやら首がやばいだとか全くお構いの幸喜にいい気するはずもなく、それなのに乱暴に根本までぐりぐり突っ込まれて反応してしまう自分が嘆かわしい。

「ふッ、ん……っぅう……ッ」
「っ、はぁ、ははっ、あーッ、くそ、まじやべーんだけど、準一のくせに……っ」

 次第に先ほどまで息一つ乱れず相変わらずべらべらうっさい饒舌幸喜の声が震えてくる。
 乱れる呼吸に、こちらの顔を覗き込んでくる目の前の幸喜の笑顔が僅かに強張った。
 幸喜が前屈みになればなる程鼻先が触れるくらい顔が近づき、吐息がかかって、ピストンに合わせて揺れる幸喜の前髪から覗く目と目が合えば、幸喜はにこりといつものように微笑んだ。瞬間、体内を突き進み奥を突いてくるそれはピクリと小さく跳ね、内壁を押し広げるように膨張する。

「っ、は、ぁ……ん、ぅぐッ」
「んふふ、あー、やばい、無理、もー我慢出来ない」

 幸喜の額にはじんわりと汗が滲み。
 いきなり笑いだしたと思ったら今度は譫言のように呟き出した。

「ってことではい、お待ちかねの種付けターイム!」

 そして、相変わらず意味のわからないテンションでそんなことを言い出す。
 下品極まりない。
 その発言から嫌な予感しかしなくて、慌てて足をばたつかせるが無理矢理両股を掴まれそのまま固定するように膝小僧が床につきそうなぐらい強引に押さえ付けられる。
 もちろんそんな中幸喜から逃げれるはずもなく、それどころか体内のそれは奥深くまで刺さったところでようやく動きは止まった。

「しっかり受け止めてね、俺の精子」

 語尾にハートが付きそうなくらいのテンションでそう囁かれ、鼓膜に染み込む無邪気な声の薄気味悪さ諸々にぞくぞくと背筋が震えた。瞬間、ドクンと大きく脈を打ったそれの先端から勢いよく熱い液体が溢れ腹部を満たしていく。

「ひッ、ぁぐっ、や、抜っ、ぁ……っ、くそ、抜けってば……ッ!」
「っあはっ、はははっ、やば、んふふッ、すっげー出る」

 笑いながら、腰をぐいぐいと押し付けてくる幸喜は腿から手を離し人の腰を抱き締めるように固定してきた。言いながらも注ぎ込まれる大量のそれに吐き気やら満腹感やらなんやらで頭がおかしそうになる。

「ふ、ぅう……ッ」

 密着した下腹部。注がれる慣れない他人の熱に無意識に呻き声が漏れる。
 そして長い射精を終え、幸喜は萎えたそれを引き抜いた。瞬間、遮るものを無くした体内の精液がごぽりと音を立て溢れ出す。

「ん……っ、あー、すっきりした」
「っ、抜けって言っただろ……ッ」

 そう笑いながら呼吸を整える幸喜を睨んだ俺は肛門から溢れるその感触に眉を潜めた。
 一度とならず二度までもご丁寧に中に出しやがって。
「いいじゃんいいじゃん、二回目これでやればさあ!」そんな俺に対し相変わらずヘラヘラと笑う幸喜は言いながら肛門から溢れ、皮膚を滑り落ちるそれを指の腹で拭い、肛門に練り込む。
「しねーよ……っ」挿入したばかりで開いたそこを撫でられ、ぞくりと背筋を震わせた俺は幸喜の手を振り払った。

「なんでえ?せっかくいっぱい出してやったのに使わないと勿体無いじゃーん」

 まるで信じられないとでも言うかのように呆れたような顔をする幸喜は「俺の方はもう一回イケそうなんだけど?」と無邪気に笑う。
 毎回言うことが酷すぎる。尻を撫でられ、ビクリと背筋が跳ねた。

「……知るかっ、抜いたんなら退けって」

 一発出したら終わりとか風俗みたいなルールを決めているわけではないが、飽き性な幸喜のことだ。というかそうであって欲しい。
「ありゃりゃりゃ、準一のくせに冷たいなあ」幸喜は笑う。
 尻を撫でていた手はなぞるように前方へ移動し、そのまま幸喜は勃起しかけた人の性器を指で弾いた。

「せっかくこっちも気持ちよくしてやろうと思ったのに」
「っ、ひ……ッ」

 敏感な部分への刺激に呼吸気管はきゅっとすぼまり、変な声が出てしまう。
 慌てて口許を覆うが、遅かった。
 人の反応を見るなりにやにやと楽しそうに笑う幸喜は先ほどの精液をたっぷりと指に絡ませ、そのまま俺のに精液まみれの細長い指を這わせる。
 ぐちゅぐちゅと濡れた音を立てながら強弱をつけるように全体を扱かれ、ガクガクと腰が揺れた。

「いらないっ、いらないからやめ……っ、んっ、ぁ、や……っ擦るなぁ……っ」

 手のひら全体を使い、指先で性器全体を愛撫される。
 潤滑剤というのはここまで重要な役割をしていたのか、擦られれば擦られるほど全身に甘い刺激が走り一種の息苦しさを覚えた。

「我慢すんなよ、もう。ほら、我慢は体に悪いって言うじゃん?」
「そうですね、我慢は体によくないですね」

 まあ、確かに我慢するのはよくない。そんなこと俺がよくわかっている。
 わかっているが、この状況で素直に受け入れる気は…………って、え?
 幸喜の声に混ざって聞こえてきた艶かしいその声に、一瞬思考が停止した。そしてそれがなんなのか理解したとき、今度は逆上せきっていた脳天から爪先まで冷えきっていく。

「あっ、あ、あ、花鶏さん…………ッ」
「あんあんあんあんと廊下の外まで響いてましたよ。念のためお聞きしますが、まさか扉が壊れていることをお忘れではありませんよね?私たちへの新手の嫌がらせでしょうか。でしたら大成功ですよ。先ほど奈都君が死にそうな顔して応接室へと逃げ込んで来ました」

 開いた扉の側、いつからいたのかそう相変わらずの笑みを浮かべる花鶏に俺はなんだか顎が外れそうになった。そして、今度冷静になった俺に襲いかかってきたのは酷い羞恥心で、じわじわと顔面に血液が集まってくる。

「っな、ぁ……っ」
「あっはっはっ!まじっすか!見たかったなあ嫌そうな奈都の顔!」

 慌てて下半身を隠そうとする俺とは対照的に相変わらずマイペースな幸喜は言いながらも扱く手を止めるわけもなく、現れた花鶏にそういつもと変わらない調子で答える。
 こいつ、まじでほんとなんなんだ。慌てて止めようとするがにゅるにゅるの手で扱かれれば全身から力が抜けそうになる。

「っ、おいっ、ちょっ、ぁっ、んん、っこう、き、やめ……っ」

 体が熱い。ただの錯覚だろうか。
 溢れる先走りと絡み付く精液で濡れた性器は幸喜の手によってガチガチに勃たされ、その醜態を今第三者にまで晒してると思ったらなんだかもう頭が可笑しくなりそうだった。
 喘ぎ声を堪える俺を無視し、相変わらずにこにこと微笑む花鶏は「あなたが会いに行けばいつでも見せてくれると思いますよ」と皮肉を口にする。

「ところでそこの血だるまはなんですか?」
「ああ、これ?多分南波さん!」
「なるほど、南波ですか」

 いつも通り、まるでなにごともないかのように交わされる会話。
 わざと無視されてるのか、それともこいつらにとっては本当に大したことではないのか全くわからなかったがどちらにせよ俺も二人を見習ってクールに決めれるわけがない。普通に無理だ。
 恥ずかしいやら情けないやらというか助けてくれやら言いたいことはあったが、不意にどろどろに汚れたばかりの肛門に硬いそれが宛がわれる。
 射精したばかりいつの間にか勃起したそれに、俺はぎょっとして覆い被さってくる幸喜を見上げた。

「っ、はっ、んんッ、ちょ……ッそこは……っ」

 まさかまだするつもりか。というか花鶏いるんだけど。いや花鶏がいなければやっていいとかそういう問題でもないのだがこのタイミングで挿入なんてあれだろ、おかしいだろ。おかしいって、絶対。
 なんて思っている間にずぷりと音を立てそれは中に入ってきて、全身の筋肉が強張った。
 先ほどの乱暴な挿入で腫れていたそこを強く摩擦され、びくんと腰が離れる。
 みっともない声が出てしまわないよう慌てて口を塞いだとき、「ところで幸喜」と静かに花鶏が口を開いた。
 人に中に擦り付けるよう腰を動かしてくる幸喜は口を塞ぐ俺の手首を無理矢理離しながら「はいはい、なんですかっと」となんともやる気のない返事を口にする。

「なんで私がここにいるかわかりますか?」

 それは今さらな問い掛けで、相変わらずの花鶏は「因みにあなた方を悦ばせるための観衆ではありませんよ」と笑顔で続ける。
 そんな花鶏に対し、普通に腰を振っては突いてくる幸喜は少しだけ考え込んだ。

「んーじゃああれだ、混ざりた「止めに来たんですよ。今すぐそれを抜いてそこに二人とも直りなさい」

 俺もか。


 おしまい

「一度壁の補修工事をした方がいいかもしれませんね」
「それよりあいつの性欲をどうにかしてください」

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