「名前、この方がお前の婚約者だ」
そういって母親から見せられた一枚の写真。
『こんやくちゃ?なぁにちょれ』
小さい頃の私には分からなかった。
けど、今は分かる。なぜなら…
「お嬢様、行きますよ」
『嫌だぁ嫌、嫌、嫌ァァァァァ!』
その婚約者のところに連れて行かれているから。
***
『嫌だァァァ!行きたくねェェェェェ!』
今日は俺の婚約者とかいうやつの屋敷に車で向かっている。
なんでも“挨拶”をしにいくとか…
だから妹のエリザベスと俺の執事の執事の名前で行くことにした。
母上はうるせぇから
「お嬢様、静かになさってくださいそれにその言葉使い…女なんですから…」
『お前は俺の母親か!?』
この口うるさい奴は俺の執事、執事の名前。
コイツは悪魔。
――あの日コイツと俺は契約をした。
その証に俺の右目には――
「姉さん、大丈夫よ!」
『…そ…そうだね』
キラキラと目を輝かせ、俺の手を握ってエリザベスは言った。
てか、何が大丈夫なんだ
妹ながらわけわからん。
「着きましたよ」
『…嫌だァァァァ!』
恐怖の屋敷にご到着。
「もう静かにしてください気絶させて連れていきますよ」
『黒っっ!』
「さぁ行きますよ」
そういうとにっこりと黒い笑みで俺の腕をつかんで引っ張った。
『ちょちょちょ…痛っ!イタタタタタ!放せっ!』
「お嬢様…早く車から降りないとどうなるか保障しませんよ?」
『降りさせていただきます』
「それでいいんです」と執事の名前は言った。
ままま、マジでさっきの執事の名前の顔怖かった…
「お嬢様!早く!」
『はい!』
あぁもうこれじゃあどっちが偉いのかわかんねぇ…
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