夢限回路
今日も私は夢を見る。
大好きな君に抱き締められる夢を。
君の香りが私の胸に広がって。
君の声が私の頭に響いて。
君の温もりが私を幸せにしてくれて。
毎日見る、とても嬉しい夢。
だけど、目を覚ませば君はいない。
いつも横にある君のあたたかさがない。
君は言ったよね。
もし私と別れる時は、オレが何も言わずに姿を消した時だって。
あの後君は、そんなことなるわけねえけど、って言ってくれた。
でも君はいない。
綺麗な服を着た桃色の髪の女の子と結界の外に行ってしまった。
ああ、私は捨てられたんだ。
いつも君のために何もしてあげられない私だもん。
捨てられて当然だよね。
私には、君に抱き締めてもらう資格がないんだ。
私の胸はポッカリ穴が開いてしまって。
私の頭は何も考えられなくなって。
冷たいベッドに身を預けるだけ。
そして今日も、夢を見る――
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